第26章 呪縛と秘密
見捨てず血も繋がっていない自分を育ててくれたユリスを侮辱されている様な気分になったレティシアの言葉は止まらなかった
レティシア
「手を上げられた子供を育てんのは簡単な事じゃなかったろーなぁ?血が繋がってる奴は冷たかったが、血が繋がってないのに私の親は優しかった」
アリシア
「貴女の親は私でしょう…!」
レティシアが敢えて親と強調すると母は昔のように目を吊り上げて声を荒らげた。その昔のままの言い分にレティシアは呆れて乾いた笑みしか零れなかった
レティシア
「ふっ…相変わらず自分勝手だな、あんた。たかが血が繋がってるくらいで親面すんな。あんたは親じゃない。私の親はあいつだけだ。血より濃いもんで繋がってんだよ。…最初に私を我が子として扱わなくなって捨てたのはあんただ…今更偉そうにすんな」
ベッドに寝転がったままの母の頭横に片手をついて、顔を近付けながら普段よりも低い声で告げられた言葉と…表情は冷たいのに紫の瞳は憎しみがこもっていて母は息を呑む。
すっと身体を上げたレティシアは再び腕を組んで母を見下ろす
レティシア
「血の繋がりが大事だって言う奴もいる。私はそれを否定するつもりは無い。…だが、血よりも大事なのは共に生きてきた時間だと私は体験して思った」
アリシア
「……っ…」
ぴくりとも動かなかったレティシアの片方の口角が、すっと待ち上げられ
レティシア
「それより、私の機嫌損ねて良いのか?私は別にあんたの病気が治んなくても困んねーんだけど?」
アリシア
「なっ…」
レティシアは本心から言っていた。
流石に言い過ぎではないか…そう思ったリアムがレティシアを止めに入ろうとしたが…
クラリス
「母様」
母の病を説明してから口を閉ざしていたクラリスが口を開いた。予想もしていなかったその声にレティシアも僅かに目を丸くして、クラリスへ視線を向ける