第24章 新任務
ルシアン
「知ってるだろ、リアム。ジルの為ならこいつは何でもやるし、その時は特に強い」
リアム
「た、確かに…」
彼のもっともな言葉にリアムは苦笑しながらも納得する。
改めてジルヴァの力は絶大なんだと理解するのと同時に、彼の為にとそこまで出来るレティシアは凄いなと思ってしまう。
その後お礼を述べる村長に見送られながらレティシア達は森へと入り、調査を始める。
ノア
「静かだね」
リアム
「すね。…本当に魔獣なんているのか疑うくらい静かです」
薄暗く少しひやっとする森の中を全員、はぐれない距離を保ちながら歩いていく。だが、そこには鳥の声とレティシア達の足音しかしない…静かでしか無かった
更に奥へと脚を進めると急に開けた場所に辿り着いた
レティシア
「これ…」
ルシアン
「何か…神殿みたいだな」
ジルヴァ
「ヴゥ…」
レティシア
「ジル?」
レティシアの脚元で神殿を見上げながら小さく唸り威嚇するようなジルヴァを見て、全員がここには何か良くない物がある…そう判断した。それが魔獣なのか、それとも別の何かは分からない。
ノア
「離れない様に固まって動いた方が良さそうだね」
ルシアン
「嗚呼、そうだな」
全員が表情を引締めて神殿に脚を踏み入れる。
しんっと身体が冷えるような、それでいて背筋が伸びる様な感覚…だが、どこか息が詰まる様な空気もあり…不思議に思いながらもゆっくりと進んで行く。
足音が妙に響く神殿内は所々に崩れたりしているものの綺麗なままだった。
だが不意に目も開けられない程の強い光に覆われる
レティシア
「……っ…何だ…!」
ルシアン
「くっ…」
ノア
「う…っ」
リアム
「眩し…!」
ジルヴァ
「にゃ…!」
彼等の姿も隠す程の眩い光は徐々に弱くなっていき、漸く目を開けられるようになったものの…
レティシア
「ノアとリアムがいない…!」
ルシアン
「…っ…どこに行った!?」
皆の無事を確認する為に視線を揺らすと、先程まで彼等が居た場所にノアもリアムも居なくなっていた。
ジルヴァはブルブルと首を振って眩しかった目の違和感を拭おうとしている。
レティシアとルシアンは辺りを見るものの最初から居なかったように気配がない