第23章 食い違いの悲劇
リアム
「にしても、3年も犯人が分かんねぇのって有り得んのか?」
レティシア
「有り得ん話でもない。…現に私はエドゥアルの居場所を全く掴めてない」
その言葉にリアムはレティシアの表情を窺うが、彼女は特に寂しそうでも悲しそうでもなく…ただ事実を述べている様でリアムは内心安堵する。
レティシア
「だが…」
リアム
「?」
レティシア
「エドゥアルの様に掴みにくい相手だとも思えん」
リアム
「どういう事だ?」
レティシア
「犯行の手口は今までの資料を見たが全て一緒だ。憎悪にまみれた殺し方だ」
リアム
「つまり、両手を切断するのも何か理由があるっつー事か?」
レティシア
「嗚呼。あいつらは富裕層に良い感情を持ってねぇ。多分…昔何かされたんだろ。だから、富裕層は全員敵。…両手を切断するのは高価な宝飾品を切り離す、腹部のものは恐らく高価な布地のドレスをボロボロにする意味合いがあるんだろ」
レティシアが話す推測は全て事実の様にもリアムには思えた。
その根拠はどこにも無い。だが、全てが間違った説明では無いようにも感じていた。
レティシア
「ま、ここで根拠の無い事を垂れていても仕方ねぇか。1度ヒガンバナに戻るぞ」
リアム
「おうっ」
─ 特別室 ─
オリヴィア
「今回も酷いわね…」
全員が見られる様に大画面に映し出される先程の被害者の写真にオリヴィアは腕を組みながら表情を歪めた。
ソフィアは顔を伏せつつも時々、視線を写真へと向けている
ルシアン
「さっさと捕まえねぇと被害者は増えるばかりだな」
レティシア
「嗚呼…。どんな奴かは…ある程度、予想出来るのに証拠が残ってない。あの紙だって手書きじゃねぇし指紋もない。賢い感じはしねぇが…馬鹿では無いみたいだな」
レティシアの言葉を最後に全員が黙る。
ソフィア
「あの…」
暫く続いた沈黙をソフィアの控え目な声が破った。
全員が彼女へ視線を向けるとソフィアはマウスをクリックし、停止したままの映像を大画面へ映し出した
ソフィア
「今まで、は…監視カメラが…ない、所で…行われている、事が…多かったの、ですが…今回の所には…カメラが、あった様…です」
彼女の言葉に全員が息を呑んで画面へ目を向ける