第22章 貴方の面影をなぞって
いつの間にかレティシアの脚元に戻っていたジルヴァまでもがルシアンに同意する様に彼女を、じっと見上げていた。
その視線に気が付いたレティシアは、ふっと力なく笑みを零すと青い空へ顔を向けた
レティシア
「はぁ…私は思っていたよりも人を傷付けていたんだな」
ルシアン
「……レティシア」
レティシア
「しかも、1番傍に居てくれてる家族を。……それから…思っていたよりも大事に思われてるんだな」
ルシアン
「当たり前だろ。大事に思ってる奴の方が多い。…1番思ってんのは、そこで寝てる奴だけどな」
ルシアンは墓石を見ながら小さく笑う。
それにつられるようにしてレティシアも小さく笑ったが、顔を上げているレティシアの頬には一筋の雫が伝った。
気が付いたルシアンはゆっくりと近付き彼女の頭を引き寄せ胸元に顔を埋めさせる。
ユリスやルシアン以外の人前で泣くのを極端に嫌うレティシアの涙に…ルシアンは、ただそっと寄り添う
レティシア
「今更、身体を張っちまうのは治せない。…だが、今よりも魔法を使おうと思う」
ルシアン
「…え」
レティシア
「メディが言ってたろ。ユリスの形見みたいなもんだって…なら、自分の嫌よりも大事にしなきゃなんねぇもんだ。……それに、これも私の力だってユリスが言ってくれてたしな」
ルシアン
「……嗚呼。それはお前の力だ。誰よりも人を助けたい気持ちが強い、レティシアだから与えられた力だ」
レティシア
「私だから…か。ありがとう。…兄さんを不安にさせたらいけないからな」
ルシアンの胸元から顔を上げたレティシアは悪戯っ子のような笑みを浮かべていて、ルシアンは安堵するのと同時に笑いながら両手で金の髪をぐしゃぐしゃにした
ルシアン
「そうだ。心配性の兄貴を不安にさせるな」
レティシア
「ははっ…止めろよ」
そうは言うもののレティシアは幼い頃のような笑顔を見せていた。2人の姿に、自分も忘れるなとでも言いた気にジルヴァが鳴いた。
するとレティシアはジルヴァを抱き上げ
レティシア
「勿論、ジルもな!いつもありがとう」
ジルヴァ
「にゃ!」
ジルヴァは嬉しそうにレティシアの頬に額を擦り付けた。
そのままジルヴァを抱き締めたまま再びユリスが眠る墓石を見詰め