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Smile Bouquet

第21章 対象者の壁となれ




リアム
「ドレイクさん、まだ目的地ではないですよね?」


リアムが問い掛けるとドレイクは、にかっと笑ってから自身の丸い腹部を叩いて見せた。それの意図が読み取れず3人の頭上に疑問符が浮かんでいるようにみえる


ドレイク
「いや、最近は歩く事が無くなって大分、腹にゆとりが出来てしまったからな。ここからは歩こうと思ってな」

ルシアン
「………」

リアム
「え…」

レティシア
「……呑気だ」


レティシアの呟きは誰にも届かなかった。
命を狙われている人物の行動ではない考えに3人は呆れ、ルシアンはキールへ視線をやる


ルシアン
「歩く事、知っていたんだろ。何故、止めなかった」

キール
「と、止めましたよ!ですが…聞き入れて貰えず」

ランナ
「そもそも、脅迫状も悪戯だとお考えです。貴方がたを呼んだのも奥様なのです」

リアム
「奥さん?」

ランナ
「ええ。心配だから、と」

キール
「ですが、当の本人であるドレイク様は…あんな感じでして」


困った様に話す2人を見て、リアムとルシアンは彼等が苦労している事が理解出来た。


ドレイク
「よし、では行こうか」


1人にこやかなドレイクが歩き出すとキールとランナは慌てて彼の1歩前を歩き、サイドをルシアンとリアムが挟む。
ドレイクの後ろをジルヴァと歩くレティシアは、下ろしていた金の髪を手早く団子に結う。
それに気が付いたルシアンは、ドレイクに届いた脅迫状が悪戯ではない事を察する。


ドレイク
「いやぁ、今日は良い天気だね」


尚も呑気に言葉を吐き出すドレイクに誰もが溜息を吐き出したくなったその時─…



─バンッ



レティシア
「フィピテオ…!」

ドレイク
「……っ!?」

キール、ランナ
「……っ…」


後ろから響いた銃声に反応してルシアンとリアムがドレイクの背後に立ち、キールとランナはドレイクをしゃがませ覆い被さる。いち早く反応したレティシアは魔法で銃弾を弾いた。


ドレイク
「な、何だ…!」

ルシアン
「脅迫状は本物って事ですよ」


自身の頭を覆っていた手を退かして声を荒らげるドレイクにルシアンが冷静に返事をする。
キールとランナは彼が無事である事を確認すると覆い被さるのをやめて視線を滑らせ…レティシア達が見ている方向で瞳を止める。



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