第19章 束の間の休息
ノア
「いや、ジェットコースターすげぇ好きだよ姫さん」
オリヴィア
「回る系に何回乗っても彼女、酔わないから…遊園地デビューで一緒に乗ったソフィアは1回でダウンよ」
それを思い出して吐き気を催してしまったから、ソフィアは口を押えたのか…とリアムは理解した。
同時にソフィアはずっと家に居たから、初めてだったのかと考えれば…本当にレティシアは彼女の恩人だなと改めて尊敬する。
リアム
「というより、特別室メンバーで遊園地に行った事あるんすか?」
ノア
「嗚呼、任務でね。爆弾仕掛けられたとかで…結局それは偽物だったんだけどね。んで、呼んだのに偽物だったからって事で…申し訳ないからって社長さんの計らいで遊ばせてもらったんだよ」
リアム
「へぇ…そんな事もあるんすね」
オリヴィア
「あの時は楽しかったわよねぇ。私も怪我人が出たらって事で同行してたのよ。…私も遊園地なんて初めてだったから、凄く楽しかったわ」
その言葉にリアムは引っ掛かる。
他の人の過去の話は聞いたが、オリヴィアの話はまだ聞いた事がない…というより、そんなに気安く聞けるものでもない。
またいつか話してくれるだろうか…そう思い、いつか話してくれるまで待つ事にした。
ノア
「ちなみに、元の姿に戻ったジルくんに乗って戦うのはそっちに集中してるから大丈夫らしいけど、移動だけは怖いみたい」
可愛いよね、とリアムに抱かれているジルヴァの鼻先をつつきながら笑うノアの言葉にリアムは心の中で同意する。
ソフィア
「わ、私は…メリーゴー、ラウンド…楽しかった…です」
オリヴィア
「楽しそうだったわよね、お花ちゃん」
オリヴィアは名前で呼ぶ事もあるが基本的に勝手に自分が呼びやすい名を付けている。最初はリアムも戸惑ったが、今では慣れたものだ。
ソフィア
「レティシア様と、乗りたかったんで、すが…」
リアム
「断られたのか?」
ソフィア
「はい、最初は。…でも、一緒に…乗ってください、ました」
その時の事を思い出したのか、目を細めて笑むソフィアは嬉しそうだ。
ノア
「そういえば、姫さんがメリーゴーラウンドの馬に乗ってたから、その下でジルくんが馬と張り合っててさ」
節々に笑いを混ぜ吐き出される思い出を聞いたリアムは腕の中にいるジルヴァを見てから、ノアへ視線を戻す