第18章 揺るがない物をくれた君
フェリックス
「レティシア、少し良いか。配置を少し変えたい」
レティシア
「分かった。…邪魔したな」
ノアの肩を軽く叩いてレティシアはフェリックスの元へ歩いて行った。
その後ろを歩く白い虎の様な小型魔獣を見ながらノアが口を開く
ノア
「あの子は?」
ルシアン
「ジルヴァだ。俺達の事を手伝ってくれてる」
ノア
「え、あんなに小さい子が手伝ってるんですか?」
ルシアン
「かなり優秀だぞ」
ふっと笑みを浮かべて廃工場を見ながら告げるルシアンに、ノアは小型魔獣が共に戦う姿が想像出来ず、へぇ…と返す事しか出来なかった。
それから配置を相談し合っている2人を見てノアは、恋愛的な感情は持っていないものの、たった16年しか生きていないが、その中で初めて出会うタイプの女性であるレティシアともっと会話をして仲良くなりたい、というのが本音だった。
だが、今は作戦開始前の仕事中だ。
そんな考えは捨てなければと軽く首を振ってから、また廃工場へ視線を戻す
今回ABチームに主力メンバーが多く投入されたのは、熾烈な争いが1番繰り広げられる酷い位置で被害を少なく且つ確実に逮捕をしたい為だ。
どれだけ作戦を練っても予想外の出来事は起こるもので、主力メンバーだとしても…主力メンバーだからこそ、今まで予想外に出会う場面が多かったため気を抜く事は無い。
ルシアン
「そろそろ時間だな」
ノア
「あ…ルシアンさん、あれ見てください」
ルシアン
「ん?」
ノアが指さした方を見ると、ぞろぞろと沢山の人が集まって来た。それを確認したルシアンは振り向き
ルシアン
「来たぞ!」
その声に反応した者達が静かに丘から降りて行く。
配置変更を終えたレティシア達もルシアンとノアの元へ行くと丘から降りて行き先頭に立つ。
どうやら今回ジルヴァは先程居た場所で待機になったようで、レティシアの近くには居ない