第18章 揺るがない物をくれた君
シュヴァリエ家という事もありフェリックスに対して遠慮していた部分も最初はノアにあったが、任務を重ねるにつれて相性の良いペアへと変わった。
だが、ノアの人柄とビンタをされる日々は変わらなかった。
変わらず楽しく充実した日々を過ごし、ノアが16歳の時にアイリス基地とヒガンバナ基地の合同捜査が行われる事になった。
左右分かれている事もあり敵対している者が居る中でノアは全く別の事を考えていた。というのも元々、同じ職業なんだから張り合わなくても、の気持ちが強いノアはそもそもその考えに至らないから別の事を考えるのは普通であった。
ヒガンバナ基地といえば、10歳で指揮官になった優秀で綺麗な子が自分と同い年だったな…や、どんな子だろう…等としか考えていなかった。
フェリックス
「今回は合同捜査だ。変な敵対心は持つな。そもそも俺達は同じ職業で仲間だ」
18歳になったフェリックスは更に指揮官としての威厳を身に付けていた。そんな彼からの言葉に部下達の表情は引き締まり、しっかりと頷く
合同捜査という事もありゼフィランサスのホールで顔合わせ、捜査内容の把握が行われるためフェリックスとノアは共に移動していた
ノア
「フェリックスさんはヒガンバナの指揮官に会った事あるんですか?」
何となく聞いた問に対してフェリックスは、どこか寂しそうな表情を覗かせる。
フェリックス
「彼女は俺の許婚だった。…いや、お2人が決めただけなのに許婚だったというのは良くないか」
珍しくはっきりしない物言いにノアは、彼にも色々とあるのだな…と思った。
だが、婚約者だった…とはどういう事なのだろうか。
貴族三大勢力として有名なシュヴァリエ家の子息であれば、フォンテーヌ家やガルニエ家の令嬢と婚約を結ぶのでは?
それが何故ヒガンバナ基地の指揮官なんだ…聞いた話では、彼女はゼフィランサスの司令官補佐のユリスさんの娘だろ?とノアの疑問はぐるぐると巡る