第15章 人か獣か
リアム
「…何だこれ…」
ルシアン
「………」
現場に到着した4人が見た光景は酷かった。
地面の至る所に血が付着し、その先を辿ると座り込んで切りつけられた腕や脚を押さえている者。
またある者はどこかにぶつけたのか頭を押さえていたり、地面に横たわり荒い呼吸を繰り返していたり…
中には気を失っている者もいた
レティシア
「ソフィア」
ソフィア
『大丈夫、です。既に手配し、じきに到着する様です』
レティシア
「ありがとう」
レティシアがインカムを指で押えながらソフィアに救急隊の派遣を頼もうとしたが、既に彼女は要請していた。
それが分かるとレティシアはルシアンとリアムへ紫の瞳を向ける
レティシア
「ルシアンとリアムは軽傷者の手当と事情が話せそうな人がいれば、聴取も頼む。応急処置が出来る物はジルが背負っているカバンに入ってる」
リアム
「分かった!」
ルシアン
「了解。…行くぞ」
彼女の指示に頷いた2人は軽傷者の方へ向かう為に脚を動かす。
その背中を補助の為にジルヴァが追う
レティシア
「ノアは ─」
ノア
「姫さんと一緒に重傷者の手当、だね」
レティシアがノアに指示を出そうとしたが、ノアが先に汲み取りウィンクを送る。
それに彼女が頷くと、ノアがまた口を開く
ノア
「魔法使う事になるけど平気?」
レティシア
「当然。人の命がかかってる、我儘言ってる場合じゃない。それに…控えてはいるものの結局は魔法ばっかに頼っちまってるしな」
気まずそうに苦笑しながら言葉を吐き出すレティシアを見てノアは眉を下げる
ノア
「オレがこんな事を言ってもレティシアの長年のものは取れねぇとは思うけど…魔法使えたからって、嫌う人ばっかじゃないよ。感謝してくれる人も沢山いる、言われなくても分かってると思うけどさ」
レティシア
「…ん、そうだな」
ノア
「いつかその鎖が取れるのをオレは願ってる」
レティシア
「ありがとう、ノア」
日常的に巫山戯あっている2人だが、いつも軽口ばかり叩いているノアの優しく真剣な言葉にレティシアの心は軽くなる。
そして、2人は重傷者の元へと急いだ