第13章 憧れに似ているあいつ
リアム
「うっ…!」
悪事を働いているのは男達で自宅を守ろうとしたリアムに、少し倒されたくらいで腹を立て少年の身体へ容赦無く数回、拳を撃ち込む。
そして、1人の男がナイフを取り出し…壁に背を預け項垂れるように座っているリアムへ向ける。
リアム
(あぁ…俺死ぬのか。12年か…短かったな、俺の人生)
朦朧とする意識の中、ナイフを持ち下衆い笑みを浮かべる男を見ながらリアムは死を覚悟した。
もう助からない、誰も来るわけが無い…でも、死ぬのが家族じゃなくて良かった…そう思いながら死を受け入れるように瞼を閉じる
「おーい、大丈夫か」
だが、届いたのは痛みではなく…この場に不釣り合いなほど呑気で…それでいて、頼もしく澄んだ声だった。
リアムは恐る恐る閉じていた瞼を持ち上げる
リアム
「………ぇ」
レティシア
「お、ちゃんと生きてるな」
紫の瞳がリアムの事を見詰めていた。
リアムはレティシアの美しさに自分は、やっぱり死んだのだと思った。
だが…
男1
「うぅ…」
頼もしい口調の天使も居るんだな、と思っていたリアムだったが彼女の後ろで手錠をされた男達が気絶し倒れているのが見えた。
レティシア
「あーぁ、酷い傷だな」
リアム
「…俺…生きて、る?」
リアムの吐き出した言葉にレティシアはしゃがみ視線を合わせて優しく微笑み
レティシア
「生きてる、ちゃんとな。…良く頑張ったな」
同じ歳に見える彼女はとても大人びていて、その言葉にリアムは一気に安堵して涙が次から次へと溢れてきて止められなかった。
その涙が止まるまでレティシアは、優しくリアムの背中を撫でていた。
その一件以来リアムは守護官になり、彼女のように悪事を働く犯罪者を捕まえて誰かを守るヒーローになりたいと強く思い…守護官を目指すようになる。
月日は流れ高校を卒業したリアムは、両親の許可を貰いシンメへの入学が決まった