第12章 "印"
そんな教祖の腕を掴んでレティシアが立ち上がらせると、背中に腕を回させ両手に手錠を嵌める。
レティシア
「あんたが守ってたこの部屋の奥に…この組織で1番、金を稼ぐ為に大事にしてる奴がいるな?」
教祖
「……っ…」
レティシアの問い掛けに教祖は顔を背けた。
それが肯定だと受け取ったレティシアは、近くに居た部下に教祖を任せ閉ざされた扉を開く
ソフィア
「…ぁ……」
机の下に入り込みスカイブルーの瞳を恐怖で濡らしつつもどこか淡い期待を覗かせるソフィアにレティシアは近付きしゃがみ込む
レティシア
「ハッキングしてたのは…あんただな」
ソフィア
「…ごめ、んなさい…っ」
手を震わせながら謝るソフィアへまた少し近付くとレティシアは優しく手を差し出す。
だが、ソフィアは信じて良い手なのか判断出来ず視線を逸らしゆっくりと唇を開く
ソフィア
「私…っ」
レティシア
「あんたは被害者だ。…理由は後で聞くから。取り敢えずそこから出ておいで」
戸惑い視線を揺らしたものの、レティシアの言葉に…その手が希望に見えたソフィアはゆっくりと差し出されたレティシアの手を掴んだ。
レティシアは優しくソフィアを机の下から出すも、その瞬間…頭を下げた時に見えた項にレティシアは僅かに驚く
机から出て頭を上げたソフィアがその視線に気が付き慌てて項を手で覆う。
彼女にとって見られたくないものだと理解したレティシアは、簡易的だが持っていた布でソフィアの印を隠す様に細い首に巻いてやった
ソフィア
「あの…」
レティシア
「見られたくないんだろ」
ソフィア
「……っ…」
レティシアの優しい視線と口調にソフィアは、両親から向けられたものは偽物だったのだと気が付いて涙が溢れそうになった。
ノア
「姫さん!…苦しい思いをしてる人物ってこの子?」
レティシア
「嗚呼。彼女、首を怪我していてな。治療する」
ノア
「それならオリヴィアさんが…」
レティシア
「いや、私がやる。ありがとな」
ノア
「そう?」
レティシア
「ノアは他を頼む」
了解と笑って去っていくノアを見送ったレティシアは、未だ不安気にしているソフィアの肩を優しく抱いて部屋を出て外の空気を吸わせる