第9章 刻まれた呪い
ルシアン
「これが、レティシアがいつも消える理由だ」
昔の話を聞き終えたリアムは、レティシアとルシアンに…そんなにも苦しい思い出があった事を知り苦しくて服の胸元を掴む。
だが、もう1つ知らなきゃいけない事があるとリアムは1度、息を吐き出してルシアンを見る
リアム
「あいつは薬飲んでますよね。どっか悪ぃんすか?」
ルシアン
「……いや、悪くは無い」
リアム
「悪くは?…どういう…」
レティシア
「私が弱いからだ」
リアム
「おわ、びびった。……って、お前は弱くないだろ」
突然、首に腕がかけられてレティシアの声が聞こえればリアムは分かりやすく驚く。
レティシア
「ルシアンにばかり任せてちゃいけないからな。今度は私から話す…この呪いについてな」
左腕の手首から肘までを覆った黒いサポーターを撫でながらレティシアは静かに話し出す
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特別室が創設されてすぐ、勤務時間を終えたレティシアが家に帰ろうとヒガンバナ基地から出ると、1つの人影がレティシアを待っていた
エドゥアル
「レティシア。…少し窶れたね」
その声にレティシアは一瞬、固まりゆっくりと下げていた視線をあげる。
するとそこには、腰までの白髪に切れ長の目の中で輝くサファイアブルーの瞳をレティシアに向けているエドゥアルが居た
レティシア
「何しに来た」
エドゥアル
「ユリスの事を聞いてね」
眉を下げるエドゥアルの姿にレティシアは苛立ち、その下でジルヴァも威嚇している。
大事なユリスが亡くなり、未だ精神的にボロボロなレティシアは本調子では無いものの鋭い視線を向ける
エドゥアル
「ユリスが死んだのは誤算だったが…結果的にお前の精神を不安定に出来たのは良かったよ。魔力の強いお前に僕の魔法が効くわけなかったけど…これで効くよ」
レティシア
「は?…ユリスが死んでんのに、何で自分の事ばかり考えてんだよ」
エドゥアル
「親友が死んだのは…勿論、悲しいよ。でも、僕は自分の計画を曲げられなかった」
レティシア
「親友?巫山戯んな…ユリスを売ったのはめてぇだろ!」
告げられる言葉にレティシアは声を荒らげると、呪文を唱えエドゥアルに向けて尖った氷を飛ばした