第9章 ローの葛藤
…次の日の朝。
真鈴は自然に目が覚めた。
まだ視界がぼやけているが…。
「ん〜……ん⁉︎」
ローの腕の中で寝ていたことに気付き、一気に目が覚めた。
「わあああ⁉︎ …あ」
一瞬叫び声を発したが、他の2人がまだ寝ていることに気が付き、急いで口を隠した。
ローの腕の中からゆっくりと脱出する。
(な、なんで私、ローに抱きしめられながら寝て…⁉︎)
昨日の夜の記憶を手繰り寄せる。
(…確か、ローがまさかの起きてて、抱きしめられて……なんか、安心してそのまま寝たんだよね…)
ローを見て、ふっ、と口元を緩ませた。
(⁉︎ 何ロー見て微笑んだの、私⁉︎ …ていうかそんなことより、寝顔可愛い…ほっぺたつつきたい……けど辞めとこ、起きそう)
ゆっくりと寝台から抜ける。
足音をたてないように窓に近づく。
そっと窓の外を見ると、魚が目の前を横切った。
「⁉︎」
思わず窓にへばりついた。
また1匹、魚が通り過ぎた。
どうやら、今船は海の中にいるらしい。
海面辺りを見ると、何本もの光の筋が海底深くまで差し込んでいる。
(いつの間に海の中に………ん?)
窓にはうっすら自分の姿が映っている。
「げ…」
(めっちゃ髪の毛ボサボサじゃん‼︎)
手ぐしで髪をとく。
髪が長いため、上手くとけない。
さっきよりは髪の毛のハネがマシになったが、毛先がバラバラだ。
(あとで櫛借りよう…。あ、そうだ)
ゆっくり寝台に近づき、2人を覗きこんだ。
まだ2人は眠っているようだ。
(今の内に服着替えておこ…)
そう思い、昨日もらった服に着替えることにした。