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僕と彼女の共同戦線

第10章 優しい理想家


「…分かった。私がAonnちゃんを、アメリカのみんなと一緒に助けるね。」

「「「「「「本当ですか!?」」」」
その場にいたメンツが大合唱する。

「Aonnちゃんは、私の友達だもの!ここで頑張らなくちゃ!!」
「うおおおおお!!!いい話じゃないか!!!」
大樹まで感銘を受けている。……嘘なのだが。

だがある意味その大樹の素直で大きすぎる感情表現のおかげで、集まった面子も遠慮なく歓喜に打ち震えている。
最終的により強い絆で結ばれた『仲間』を得ることが出来た。

「凄いな!!リリアン説得大作戦!!」
どんどん仲間が増えていく。
しかも今は「大事な話がある」ではなく、「Aonnを助ける話がある」という、司帝国の人からすればより『食い付きやすい』口説き文句のお陰で、着々と仲間を増やしていた。

「ああ。けど、少し怖いね。人間何でも慣れて油断してきた頃が一番危ないからさ」
……ニッキーの懸念は、直ぐに当たる事になる。

******

翌日。

司帝国内部では、葵が監禁された事は有名になっていた。監禁場所は彼女の寝室であり、常時監視付きである。

彼女が逃げられない様に、寝室は改造され、竹の牢獄と化していた。クロムの様に車両特攻対策こそ無い上、監視人数は少ないもののーー

やはりその場所を見に来るファンは耐えないし、差し入れと称してご飯やら布やらなんやらを持ってくる人は多かった。葵には幸い武力も無いし、科学力も無い。故にそういった差し入れの類は一応中身の審査の上、許されていた。

監視は外さない状態で、カーテン越しではあるが面会も出来る。



ーーただ、上井陽は帝国から消えて、行方不明だ。
自白しかないが……彼女には何らかの刑罰が執行される、との噂が流れていた。

そういった状況も相まって、司帝国内部の寝返り作戦はこの日はより好調に進んでいた。
監視役達は彼らは彼らで、「何も俺らの尻拭いまでしなくても…」と余計に彼女に迷惑をかけたという罪悪感を持つ事になった。


ーー結果として、監視役やAonnファン以外の面子にまで、司への不信感が拡大。より作戦が遂行しやすくなったのだった。

(これも葵の献身的な策謀のお陰だね)
ニッキーが笑みを浮かべたのもつかの間。
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