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僕と彼女の共同戦線

第4章 仮面の下


司への報告終わり。
葵は一息つくと、帝国内を手持ち無沙汰にぶらぶら歩く。

夕食時のライブで配布する、ファングッズのリボンのストックもある。その為せっかくの癒しタイムである『女子会』も中止だ。残念である。

以前取り組んだ壊れた石像の破片収集や修復作業の方も、軍師としての密偵などの仕事の方があるから今は手が出せない。慎重にやってはいるが、万が一にでもバレれば即、『穏便に司帝国を科学王国の手で瓦解』計画は水の泡だ。

ーー仕方ないが、ここは我慢するしかない。



すると、少し上空から癒しの声がした。

「あはは。本当に、葵は演技が上手いよね。司への報告、お疲れ様」
「あ、羽京君。お疲れーっす!天使!疲れた時の癒し!!!」

あ。精神的に参り過ぎて思ったこと全部でちゃった。

「どこで覚えたの、そんな言葉…??あと癒しって…?」
「体育会系の皆さんからです!!」

葵は胸を張る。
あはは、そこは真似しなくていいんじゃないの?と羽京が笑う。しかも天使とか癒しは絶対彼ら言ってないよね、と。

そこはクロムの居る牢獄と、玉座の間の中間地点にあたる森林地帯。
玉座の間の帰り道、葵は木の上から羽京に話しかけられたのだった。

「それにしても、『僕の方が力がある』ね……。
裏でひっそり『軍師』として仕えてるし、僕と同じくらい…いや、下手したら氷月と同等位には司に重宝されてるのに」

「ありゃ、クロム君との会話の方も聴こえてました~?まあ純粋な帝国内部の人員の支持者の数だけで比べるなら、私と司君でツートップですからね~」

ふふふ~と笑う女性ーー葵。

旧世界では『Aonn』という名義で活動していた、シンガーソングライターである。
旧世界で予定されたデビュー10周年記念のライブ告知と共に、それまで非公開だったプロフィール各種を公開予定だったが、公開直前期に石化。

その名を知らない人は日本人では居ないだろう幻の歌姫だ。

軍師の家系の旧き良き家柄出身の、生粋のお嬢様。
その歌唱力やカリスマ性、策謀力・演技力など数々の手練手管で司帝国を纏める重鎮の一人でありーーーー

ーー西園寺羽京が結婚相手としてお付き合いをしている相手でもある。
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