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僕と彼女の共同戦線

第16章 おやすみの前に


司帝国と科学王国の戦争が本当に終戦した、翌日。

司は今まで破壊してきた石像の位置を話していた。

「……それと、南東部の海岸付近かな。具体的にはーー」
そして、羽京が壊した場所を必死に記録している。

「オホー!喋っちゃいかんよ司、少しでも安静に…!」止めようとするカセキだが、司は話すのを止めない。

「…決着は着いた。君ら科学王国が勝った今、俺が手にかけた石像は全部無意味なーー
「あっ、この一帯は全部回収したよ」

突然の闖入者に、司が発声をやめた。
葵はせっかく羽京が頑張って書いてった紙をペラペラーと全て本を捲る様にして見ている。

「……?まさか、葵、君も杠と一緒に…」
「?そうだよ~。やってたよ、石像パズル。それがどうかした?」くるり、と振り返り葵が言う。

「まだ石片を回収出来てないのはこのページだけだよ」
葵が羽京の積み上げた紙からバッバッと未回収の物のみ選び出して、大樹に渡す。

「うおおお!ありがとう葵!!
任せろ司ー!!残した場所さえ分かれば大丈夫だ!俺が全部集めてやる…!!」
大樹が速攻でカゴを持って走り出す。

「…あはは。まさかとは思うけど…葵、さっきパラパラーってやっただけで全部内容を記憶して、頭の中の未回収の石像破片のマップと照らし合わせたの…?」
そんな天才がドラマとかでやるようなのを…?
と質問する羽京。

「??うん。天才かどうかは知らないけど出来るよ~」と頷く葵。



ーーそうだった、この子ドラマなんかよりよっぽど希少で、文武両道、策謀力やら歌唱力やらが鬼の様に高い、知将や軍師というよりは織田信長みたいな無茶苦茶やらかす本物の天才だった。忘れてた……

がっくり、と項垂れる羽京に羽京君?どうしたの、大丈夫??と肩をさする葵。元凶は彼女自身なのだが。

「…うん。羽京がさっき書いてたのが8割くらい無駄だったってことだね…」羽京がさすがに可哀想になった司が補足する。

「そっか……。ごめん、羽京君。杠ちゃんと石像パズルするのも大事だけど先にこっち来た方が良かったね」
しゅんと項垂れる葵に、いや、君もパズルの休憩で来てくれたんでしょ?と苦笑いしながら羽京が顔を上げる。
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