第14章 解決できそうですか
「あのね、図書室で会った時から、その、
素敵な人だなと思ってて・・
三人ではしゃいでるところも可愛いな、
なんて思ったりして」
思考が全く追いつかない、彼女は一体何を言っているんだ
「え、あ、ちょっと待て」
「傘を貸してくれた時もすごく嬉しくて、私、
相澤くんのこと、、応援しています・・!」
「・・応援」
さっぱりわからない話の内容に彼女の言葉を繰り返す
春風のように心地の良い声は遠慮がちに言葉を続けた
「好きな気持ちはもちろん仕舞っておくし、絶対相澤くんに迷惑かけないから」
だからお願い、これからも友達で居させて
なんて、真っ赤な顔で目を潤ませる彼女の視線に囚われると今までに経験したことがないほど、身体中が熱くて
まさか
彼女の好きな奴、って———————
数秒止まったままだった息をやっとの思いで吐き出すと、心臓が壊れそうになった
「せめて俺に言わせて、下さい」
落ち着け、そう何度も自分に言い聞かせながら潤んだ丸い瞳を見つめ返すと彼女は不思議そうに瞬きをした
「図書室で会った時から、薬師さんのこと
ずっと気になって、あいつらにバレて、
面白がって嵌められた、ごめん」
「え」
「嵌められたのは君じゃなくて俺、ね」
涙を引っ込めた彼女の動きが完全に停止する
「え、じゃあ私、余計なこと・・!
お願い、さっきのは忘れて下さい・・!」
みるみる赤くなる様を見ていると、その分だけ自分は冷静になれる気すらしてきた
「絶対嫌だ」
「相澤くん、あの、違うの、!」
「何が違うんだよ」
“応援” なんかいらない、小さくそう呟いて視線を地面に落とす
君が他の奴と付き合うのは嫌だし俺が君の特別になりたい
俺はそういう種類の好き、なんだけど
「俺の悩み、解決できそうですか」
生温い風が二人の間を吹き抜けて、さっきまであんなに饒舌だった彼女は目を潤ませたまま固まっている
もどかしい沈黙に耐えられずに、できるだけ優しく手を引きゆっくりと彼女を抱き寄せた
「俺の、彼女になってくれませんか」
華奢な手が俺の制服の裾をそっと掴み、待ち望んだ愛しい声が鼓膜を揺らして
「相澤くんの、彼女に、してください・・」
足元では、放ったらかしにされたおすしが不機嫌そうにゴロゴロと鳴いていた