第11章 それは誰のせい
「なァ、この際イロイロ教えてくれよォ!
この十年間、何人とオツキアイしたわけ?」
こいつ・・
俺が起きてるのわかってて聞いてやがる・・
家族棟の一室、わいわいと三人で囲んだ食卓
酒も進み一通りの昔話に花を咲かせた
そして敢えて俺が寝かけているこのタイミングで目の前のお喋りがまた余計なことを垂れる
彼女の作った料理を頬張り今にも歌い出しそうなご機嫌野郎、机に突っ伏していてもその顔がありありと目に浮かんだ
コイツも相当酔ってるな・・
イレイザーの性格上、愛する女の過去が気にならないわけがねェ!
ここは大親友のプレゼントマイク様が!一肌脱いでやろうって話だァ!!!
・・ってとこだろうよ
「十年もあったんだぜ?色恋沙汰の一つや二つあるんだろ?」
彼女も多少酔っているのだろう、いつもより少し高い声が楽しそうに響いて
「相澤くんには内緒にしてね?」
本当にナイショだよ、なんて人差し指を口に当てると意外にも簡単にふわふわと話し出したのには正直驚いた
「一人の人とね、一週間だけお付き合いしたことがあります〜」
って言ってもカウントできるようなものじゃないの、そう言って酒を一口運んだ彼女が眉を下げて笑う
(一人だけェ!?それより一週間て何!?)
(こいつ、俺にはそんなこと一言も・・)
「・・・・」
そんな話聞いてねェぞ、問い詰めようと顔を上げかけたその時
コイツ寝てっから大丈夫大丈夫!、そう山田の声が彼女を促した
「ずっと相澤くんのこと引き摺ってたから新しい恋愛には踏み出せなかったんだけど、それでもいい、一週間チャンスが欲しいって言ってくれた人に根負けしてね、」
でも結局、一週間経っても私の気持ちは変わらなくて、悪いことしちゃったな
そう言って少ししょんぼりとした彼女が白ワインをちびちびと口へ運んだ
(そいつとどこまで・・、ヤったのか、?)
(どこ止まりか絶対気になるよなァ・・オレでも気になるモン!!)
できるだけ規則的に呼吸をし、どのタイミングで顔を上げるべきなのかと俺は寝たふりを続けて
冷たいテーブルの温度を感じながら目を閉じると俺は大人しく山田の言葉を待った
「でも一週間じゃ何も無かったんだろ?そりゃノーカンだノーカン!」
酒を煽りながら山田が声を張り上げると、彼女は少し考えて呟いた