第9章 たまには君から
「交流パーティー、ですか?」
「そう!雄英高校教職員と関係会社、
そしてスポンサーまでもが一同に会して
行われる年一回の立食パーティー!!!」
「すごく楽しそう・・!」
香山先輩との昼食時、開催が来週に迫るその会の賑やかな光景を想像し思わず笑みが溢れた
「あなたの赴任前に案内が来てたの、お伝えするのが遅くなったわ」
「相澤くんそんな事何も・・」
「ほら、いつもの一点張りよ」
俺はそういうの遠慮します、顔を顰めてそう声真似をした香山先輩が妖しく微笑む
「でも今回はあなたが居るから、事情は違ってくるかもね」
そう言って彼女は大きな箱を取り出すと、それを恭しく私に差し出した
「開けてみて!」
装飾の施された箱を開けると中には素敵なロングドレスやパールのアクセサリー、そしてシルバーラメのハイヒールがきらきらと輝いている
「うわぁ、素敵・・!」
「当日はみんなドレスアップして臨むの、
あなたに似合うと思って用意したわ!
どうかしら?」
「こ、こんなの、頂けません!!」
「あなたが参加してくれると場が華やかになって
助かるのよ、学校の宣伝効果もばっちり!」
それにそのドレスを相澤くんに見せれば、確実に彼も参加する気になるわよ!
そう完璧なウィンクを残して、香山先輩は去って行った
相澤くん、一緒に行ってくれるかな・・
「行かない」
「で、ですよね・・」
部屋のパソコンに向かいながら彼は不機嫌にそう言って、予想通りの回答に苦笑した私の頭に香山さんの微笑みがよぎる
“そのドレスを相澤くんに見せれば、確実に彼も参加する気になるわよ”
「あのね・・実は香山先輩からドレスを頂いて・・
できれば相澤くんと一緒に行きたいなって・・」
言い終わらないうちに振り返った彼の眉間には深い皺が刻まれていて、私は思わず顔を伏せた
あの人が選んだドレスだと・・?
ったく、嫌な予感しかしない
仕事の手を止め溜息と共に立ち上がる
あの人が寄越すモンだ、ド変態なデザインに違いない
しかしテーブルに置かれた箱を開けると、予想外にも上品に輝いた濃紺、手に取ったそれは間違いなく彼女に似合うものだった
「はぁ・・」
こんなモン着て一人で行かせたら
・・悪い虫が付きまくるだろうが!!!