第7章 持ち物には名前を
秒針が音を立てている、気怠さと喉の渇きがぼやける視界を徐々にはっきりとさせて
鈍い痛みに首を動かすと、すぐ近くに乱れた黒髪が映って私は慌ててシーツを手繰り寄せた
「・・っ」
床に散乱した服、食卓にそのままの食器、何度も求められどろどろに溶け合った夜を思い出す
少し目線を下げるだけで全身に残る彼の痕が視界に入って、顔から火が出そうになった
絡んだ脚をそっと抜くと、ベッドの端に腰掛けて
本物であることを確かめるように、寝息を立てる彼の頬に少しだけ触れる
「、夢みたい」
眠る相澤くんを起こさないよう、ゆっくりと床に足をつける
立ち上がろうと手のひらに力を入れた瞬間、大きな手が私の手首を掴んだ
「・・」
「起、こしちゃった?」
薄く目を開けた彼が不機嫌そうに私を見上げている、はだけたシーツから覗く身体に顔が熱くなって
「服、着よう、かな・・、」
「・・・」
認めないと言うように眉を顰めた彼が手に力を込める
バランスを崩した私はあっという間に腕の中におさまって、元通りに絡んだ脚はもう解けない
「・・現実だよな、全部」
確かめるような声、背中をなぞった指先が柔い膨らみに触れて
這った手がその先を爪で弾くと、私は容易く夜に引き戻されてしまう
「、待って、・・!」
「理由は」
揶揄うように弧を描いた唇が私の首筋に痕を残していく
ざらりとした舌が耳に触れて、私は漏れ出る声を抑えようと必死に唇を噛んだ
「真っ当な理由が無いなら、諦めろ」
長い指が膨らみの形を歪める、誘うように色付いた先を口に含んだ彼が態とらしい甘い音を立てて
伸ばされた手がとろりと溢れた蜜に触れると、羞恥が熱となって顔に集まった
「だ、め・・っ」
響かせた水音、恥ずかしさと情けなさに目を伏せても、その視線に灼かれてしまうように身体が熱い
「・・夢かもしれないだろ」
「え、?」
「寝袋どころか、昏睡状態かもしれない」
出来すぎていて、不安なんだ、自嘲するような声に胸の奥が甘い音を立てる
言葉に詰まった私を楽しげに眺めた彼がゆっくりと近づいて、乾燥した唇が私のそれに重なった
「夢じゃ、ないよ」
「どうだか」
確かめないとな、そう言うと彼は意地悪に笑ってまた私を抱いた