第6章 満点をきみに
シャワーを止める音、開いたドアから流れ込んだ生温い空気が鼻腔を擽る
「あれ、相澤くん、いつの間に・・?」
「自分の部屋で浴びてきた、時間は有限、
交代で入るよりよっぽど合理的だ」
悪いがこっちは余裕ねェんだよ、そう言って睨み付けると彼女は心底楽しそうに笑った
「っふふ、あははは!
そういうところ、本当に変わってないね」
こいつ・・調子に乗りやがって・・
「いつまで笑っていられるか見ものだな、
・・こっち来い」
———
余裕の無い彼がバルコニーを行ったり来たり、その姿を想像すると積年の恨みが少し晴らせたような気がする
耳まで赤い彼が私の腕を引いて
大きなその手に指を絡めると彼の動揺が伝わった
「思いっきり、集中してもらおうか」
「・・それは相澤くん次第でしょ」
「へえ、言うね・・泣いても知らないよ」
薄紫の上に広がった長い髪はまだ少し湿っていて、甘く俺を誘う
「ん、やぁ・・っ、相、澤くん・・っ」
乱れていく彼女の声、そうさせているのが自分だと思うと堪らなく興奮して
初めてするんだから優しく、なんてそんな余裕すぐに吹き飛んでしまった
「はあっ、もう無理、またきちゃう・・っ」
「・・泣いても知らねぇって言ったろ
ちゃんと呼べよ、もっとヨくしてやる」
どれだけお前を抱けば全部俺のものになるのか、
何度果ててもまだ足りない
手加減なんてできるわけがない
「も、何回もシて・・っ」
「悪いな、体力には自信がある方だ」
にやりと笑うと目に涙を溜めて俺を睨むその顔
ったく、タチが悪いのはどっちだよ
「ほら、呼べよ」
「・・相澤くん、好、き」
「聞こえないな」
繋がっていないと不安で、足りなくて、満たされてはすぐに渇いていく
「ちゃんと呼ばなきゃ、やめちゃうよ」
耳元でそう囁いて律動を止めると、焦った彼女は俺の腕に爪を立てた
「や、お願い、やめないで・・っ」
お前も早く狂っちまえ
俺ナシじゃ生きられなくなってしまえばいい
溶け合って、もう離れないように一つになってしまおう、な
「消太ぁ・・っ、」
可愛いその声で名前を呼んで
そして聞き飽きるほど言ってくれ
俺が好きだと、俺を愛していると
「消、太・・っ、愛して、る、大好き、
ん、ああぁあっ・・!」
「・・満点だ、最高だよ」