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◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第23章 種明かしは急がない



「・・結局、わからなかったなぁ」

すっかり冷めた紅茶を飲み干し、彼女が首を傾げる


「何の話だ」

HNの画面を消し目線を上げると、難しい顔をした彼女は腕組みをしていた


「だって相澤くん、あの後お祭りの話題
 全部拒否するんだもん・・」

マグカップをそっとテーブルの上に置くと、横に座る俺を不思議そうに眺めた


「だから結局、相澤くんがあの時どうして
 あんなに怒っていたのか、今も分からないの」

そう言ってじっと俺の答えを待つ丸い瞳に、最大級の溜息が漏れる


「お前がそれを言うか・・」



白雲くんと喧嘩でもしてたの?そんな風には見えなかったけどなぁ

なんて、能天気な顔で言葉を垂れた彼女の頬を俺は思いきり抓った


「鮮明に覚えてるんじゃなかったのか」

「っ、いはい・・!」

「俺は手加減しないんでな」



ったく、人の気も知らないで


そのまま引っ張り手を離すと、俺を睨んだ彼女が不満気に頬をさすった


「私はさっき手加減したのに!」

「頼んでないよ」


昔話とは言え、自身の情けない話を蒸し返すのはやはり癪だ

そんな俺の気など露知らず、
「そろそろ時効だしいいでしょ」と口を尖らせて
懲りずに答えを待つ彼女にまた溜息をついた






「・・親友が自分の彼女に告白してるの見たら
 ああなるだろ普通」


「・・へ?」


ぱちぱちと瞬きをして首を傾げる姿に
それのどこが鮮明なんだよ、と悪態をつく


「聞こえたんだよ、アイツがお前に
 “俺の方が好きだ”って言ってるのが」

あの時の浴衣と同じ色のソファの上、冷え切った紅茶を流し込み一瞥すると、膝を抱えて座る彼女が目を見開いて考えた


ここまで言っても思い出さないとは
アイツも気の毒だな・・



「“俺のほうが好きだ”・・???」

全く心当たりが無いと言わんばかりに首を捻って数秒、



「・・・・あ!」

そう小さく叫んだかと思うと、彼女は突然下を向いて肩を震わせた




「ふふ、あははは・・っ!!」


吹き出した彼女が両手で顔を覆い
笑ってごめんね、と笑いながら言った


「今のは、俺に対する挑発と取っていいな」

売られた喧嘩は買うぞ、と俺が身を乗り出すと必死に笑いを噛み殺した彼女が呟いた


「白雲くんの名誉の為に言うね、
 ・・彼は私のことなんて好きじゃないよ」
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