第9章 【疑惑の渦】
祈るような気持ちでネサラの帰りを待っていると、数分後、やっとハグリッドとマクゴナガル先生をつれてネサラが帰ってきた。
マクゴナガル先生の指示で、ハグリッドはケイティを抱き上げると走って城へ戻っていった。
「あなた達、いったい何があったのです?」
「あのっ、ケイティが『三本の箒』のトイレで、変な包み紙を持って戻ってきたんですっ……それを誰かに渡さなきゃいけないって言って……変だと思って、私、ケイティに包み紙を捨てるように言ったら、喧嘩になっちゃって……」
ケイティの友達が、泣きながら必死に状況を説明したが、言葉が詰まってそれ以上は出てこないようだった。代わりに、一部始終ではあるが様子を見ていたハリーが状況を説明した。
説明が終わると、マクゴナガル先生は一際厳しい顔をした。
「それで、その首飾りというのはどうしたんです!?」
「僕が持っています。マフラーに包んで」
「なんとっ!?……いいえ、危険ではありますが、よく冷静に判断しましたポッター。首飾りを私に渡しなさい」
ハリーはマフラーごと首飾りをマクゴナガル先生に渡した。それと同時に、ハリーは驚くべきことを口にした。
「先生、僕はあの首飾りがボージン・アンド・バークスにあったのを知っています。そしてそれを知っているもう1人の人物も分かっています」
「誰です?言いなさい、ポッター」
ハリーは一瞬目をつぶり、短く息を吸ってこう告げた。
「ドラコ・マルフォイです。僕は――マルフォイがケイティに首飾りを渡したんだと思っています」