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ハリー・ポッターと夢幻の探究者

第4章 【闇払いごっこ】


 奥へ進むほど、『ノクターン横丁』は一層不気味さを募らせていた。建物の窓と言う窓全てが閉じられ、まるで人の気配がしない。
 こんなに奥まで来たのは初めてだった。それはドラコも同じことのはずだ。それなのに、ドラコの足取りはまるで迷いがなかった。

 やがて道が細くなり、袋小路にたどり着いた。こんなところに何の用かと思っていると、ドラコがピタリと足を止めた。クリスはサッと隠れて様子を覗った。

「――出て来いよ。僕に会いに来たんだろう?」

 なるほど、どうやら全てドラコに見抜かれていたらしい。ならば隠れる必要もないと判断したクリスは、物陰からスッと姿を現した。
 やおら振り返ったドラコは、口元に笑みを湛えていた。

「懲りないな、またポッター達と一緒に探偵ごっこかい?」
「いや、強いて言うなら闇払いごっこだ。幼馴染が悪行に手を染めようとしているみたいだったからな」
「悪行か……1つ訊くが、いったいどちらが悪なんだ?血の繋がった父を助けようとしている子供と、血の繋がった父を殺そうとしている子供と」

 クリスの顔からは完全に笑みが消えたが、ドラコはまだ薄ら笑いを浮かべていた。馬鹿にされている、というより随分自信を持っているようだ。それが何故なのかまでは分からないが。

「ドラコ、1つ忠告しておいてやる。お前の企みは絶対に失敗するぞ」
「どうしてだい?まさか、ポッターがいるからとか言うなよ」
「ハリーじゃない、私がいるからだ。私が絶対にお前の企みを阻止してみせる」
「やってごらんよ?出来るものならな」

 それだけ言うと、ドラコはクリスの脇を通って路地の向こうへと消えていった。

「止めてやるさ、絶対に。――お前の手だけは汚させない」

 もう、これ以上不幸な人間を増やしてたまるものか。それが家族と呼べる数少ない人間ならなおさらだ。
 #NAME1は無意識の内に左手首を掴んだ。そしてドラコが立っていた場所をずっと見つめていた。

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