第4章 【闇払いごっこ】
マルフォイ親子が行ってしまうと、重い空気の中なんとかローブの採寸を終え、クリス達は店の外に出た。
外で待っていてくれたハグリッドにマルフォイ親子の事を聞くと、特に喧嘩を吹っかけられることもなく素通りしていったそうだ。
いくらヴォルデモート側についていると言っても、道の往来で事を起こすほど、あの2人も見境がないわけではないらしい。
「思ったより時間がかかってしまったな。待ち合わせ場所に急ごう」
シリウスが時計を確認し、ウィーズリー夫妻との待ち合わせ場所であるフレッドとジョージの店へ早足で歩いた。歩きながら、クリスはナルシッサおば様の事を思い出していた。
さっきのあれは、おば様にしては少し思慮にかけた言動だった気がする。
具体的にどこがと問われると答えづらいのだが、何と言うかこう、切羽詰まった感じというか、何かに急かされているというか……。
「痛っ!」
そんな事を考えながら歩いていると、前を歩いていたロンの背中にドンとぶつかった。
クリスはぶつかった鼻の頭を押さえながら、思考を現実に戻すと、確かにロンが立ち止まった理由がよく分かった。
目の前のショーウィンドウには、ド派手に飾られた見覚えのある悪戯グッズが並んでいる。そればかりか、周りの店と反比例するかの如く光り輝く看板は、見る人の目を奪い、誰もが1度は立ち止まって思わず振り返ってしまうほどだ。
その紫色の大きな店の看板には、眩しいほどの黄色い文字でこう書かれている。
『ウンの無いときは紙にもすがる?
愉快痛快 爆笑解消 間違いなし!!』
その看板を眺め、クリスはちょっと頭が痛くなってきた。なるどほど、ウィーズリーおじさんがわざわざ店の場所を言わなかった理由がよく分かる。
「やあ、みんな!待っていたよ」
「パパ!!」
店の前ではウィーズリー夫妻が待っていた。朗らかな笑顔を浮かべるウィーズリーおじさんとうって変わって、おばさんは苦虫を噛み潰したような顔で看板を眺めていた。