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ハリー・ポッターと夢幻の探究者

第3章 【寂れたダイアゴン横丁】


「――で、ここにはこの術式を当てはめて……」
「ああ、なるほどな」

 『O・W・L』の結果が送られてきてから1週間、クリスはチャーリーに頼み込んで勉強を教えてもらっていた。
 チャーリーは「俺じゃなくてビルの方が良いんじゃ……」等と謙遜していたが、ビルは仕事で毎日帰りが遅いし、それにチャーリーだって学生時代は監督生を務めていたほど優秀なのだ。家庭教師役として不足は無い。

 だからと言ってチャーリーを四六時中拘束している訳にもいかない。チャーリーにだって楽しい家族との団らんも必要だ。
 チャーリーがハリーやロン達と、大好きなクィディッチを楽しんでいる間は、クリスはハーマイオニーに勉強を教えてもらう事にしていた。

「なあハーマイオニー、ここはどうなる?」
「え、ここ?ここはね……ちょっと待って」

 時折あのハーマイオニーでさえ戸惑うほど、クリスの勉強に対し貪欲になっていた。
 いや、正確に言うと勉強への意欲ではない。知識への、と、言い換えるべきだろう。いったい何がクリスをそこまで掻き立てているのかは、後ほど知ることになる。

「分かったわ。ここはね、こうやってペガサス座から右45度ずらすと良いのよ」
「そうか……分かった。ありがとう」

 クリスは教えてもらった事を、事細かに羊皮紙に書き写していった。その量たるや、たった1週間で積み上げるほど大量になっている。
 『O・W・L』の勉強の時でさえこんなに積極的に勉強している姿を見ていなかったハーマイオニーは、ごく自然な質問を投げかけた。

「ねえクリス。試験が終わったばかりなのに、どうしてそんなに勉強しているの?」
「……笑わないか?」
「私と貴女の仲でしょ」
「じゃあ言うが……その、将来ラボを開きたいと思っているんだ」
「ラボって?」
「研究所だ。つまり、その……召喚術の」
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