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ハリー・ポッターと夢幻の探究者

第19章 【恋人たち】


 いかにハリー達が信用の出来る友達だと言えども、折角ダンブルドアが話してくれた辛い過去を打ち明けるわけにはいかなかった。
 クリスが談話室に戻ると、3人は心配そうな顔で帰りを待っていてくれたが、クリスは「悪いが疲れたからもう寝る」とだけ言って女子寮への階段を上って行った。

 ベッドの中で、クリスはダンブルドアとの約束を思い出していた。
 きっと大丈夫だ、なにせ相手は「あの」ダンブルドアだ。ドラコの稚拙な計画などすぐに解決してくれるだろう。
 そう思ったら少し肩の力が抜けて、その日は久々にぐっすり眠ることが出来た。

 翌朝、クリスはハリーに忍びの地図を返した。暇さえあれば1日中「必要の部屋」の前でドラコを待ち構えていたクリスが、突然地図を返したことに流石のハリーも驚いていた。

「ど、どうしたの?マルフォイの事はもう良いの?」
「ドラコの事は……ダンブルドアに頼んだ。それにそろそろ、1年間費やした研究をまとめる時間が欲しかったから。これから空き時間はそれにあてるよ」
「研究?なんの?」
「何って……当然召喚術に決まっているだろう?」

 何を今更、とクリスは付け足したが、ハリーとロンは口を大きく開けてポカンとしていた。その間抜け面を見て吹き出しそうになっているクリスに、ハーマイオニーが無言で肩を叩いた。
 ……そう言えば、ハーマイオニー以外には話していなかったかもしれない。良い機会なので、ハリーとロンにも将来の計画について話しをした。

「だからスラグホーン先生のスラグ・クラブにも顔を出して、必死にスポンサーを探していたんだ!」
「でも君は本物の召喚士なんだから、苦労しなくても研究所の方からお誘いが来るんじゃないの?」
「モルモットとして、か?」

 鋭いクリスの一言に、ロンはとんでもない失言をしたと大きく首を横に振った。
 そう、クリスの召喚士としての血を利用したいと考えるのは、何も研究所だけじゃない。分かりやすく言えば、その筆頭がヴォルデモートだ。
 もし「研究の為に金を出せ」とヴォルデモートに言ったら、奴は喜んで大金を出し、喜んでその力を悪用するだろう。だからこそ、身の振り方っていうものを真剣に考えなくてはならない。
 残念ながら世の中には汚い人間というのが沢山いるのだ。
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