第18章 【ダンブルドアの過去】
「あれでも、私にとっては家族同然の人間なんです。お願いします、あいつが……ヴォルデモートに何か命令を受けて危険なことに手を出しているなら、何としてでも止てやって下さい」
「よく分かった。わしの命に代えても、彼を助けよう」
「……ありがとう御座います」
クリスは深々と頭を下げると、扉の前に立っていたダンブルドアの隣を横切って校長室を出た。グリフィンドール寮までの道すがらを、見回りの先生方と鉢合わせしないように忍びの地図を頼りに歩く。
暗くて冷たい廊下を歩きながら、クリスはダンブルドアの顔を思い出し、強い後悔の念にさいなまれた。
「ダンブルドアに……させてはならない話しをさせてしまった……」
実の妹を殺したなんて話し、絶対にさせてはならなかった。自分の所為で大切な人が命を落とした、それがどれ程辛い事か分かっていたはずなのに――それなのに私を納得させるために、辛いのをおして語ってくれたのだ。
正直まだ納得できていない部分もあるが、傷ついてまで己の過去を話れくれたダンブルドアの気持ちを酌まないわけにはいかない。
それに約束をしたのだ、ドラコを助けてもらうと。あれはお願いと称した交換条件だったとクリスは理解していた。
ならばドラコの企みを阻止してもらうまでは、何があってもダンブルドアの言う事には従わなければならないだろう。
だがそれで良い、ドラコの企みを止められるなら、何だってしてやる。あいつは――私の唯一家族と呼べる人間なのだから。
「待っていろ、ドラコ。直ぐにでもお前を解放してやるからな……!」
ドラコさえ無事ならば、『分霊箱』の処理する役目なんてハリーにくれてやる。クリスは思いのたけを込めるように、ダンブルドアから貰った銀の腕輪を、力の限り握りしめた。