第16章 【xxx】
ロンが毒を盛られたという事件は、瞬く間に学校中に広まった。だがケイティに続き2人目の犠牲者が出たと言うのに、生徒の殆どは来週に差し迫ったクィディッチの試合の方が重要らしく、これには流石のクリスも笑いを禁じえなかった。
そういうクリスも、ロンの容態よりも犯人かもしれないドラコの事の方が気になっていたので、あまり人のことを言える立場ではなかった。
クリスは授業とロンの様子を見に行く時以外は、殆どを8階の『必要の部屋』を見張ることに費やした。それは半分自分の意志でもあったが、もう半分はロンとハーマイオニーを2人きりにさせるためだった。
ロンが襲われたことで唯一良かった点は、2人が仲直りした事だ。ハーマイオニーは暇さえあればロンのお見舞いに行き、彼女らしく授業の様子について語り聞かせていた。
だがもちろん、その弊害もあった。そう、ラベンダーの存在だ。
ラベンダーは肩書だけはロンの彼女だったが、ロンはラベンダーがお見舞いに来ると、大抵寝たふりをして過ごしているようだった。
「ロン、男らしくないぞ。別れたいならさっさとそう言え。じゃないとラベンダーが可哀そうだ」
週末のグリフィンドール対ハッフルパフ戦の朝、ハリーと一緒にロンの病室を訪れたクリスはハッキリそう言ってやった。
例え当てつけで付き合い始めたんだとしても、あんなにべたべたイチャイチャしておいて、いざ本命とよりが戻ったからこのまま自然消滅――ではあまりにも女をなめ過ぎている。
「そうは言うけどさ、実際なんて言ったら良いか分からないんだよ。君は誰とも付き合ったことないから分からないだろうけどさ……」
「ロン、流石にその言い草は……」
「喧嘩売ってるのか?良いぞ、買ってやる」
口元だけは笑っているように見えたが、クリスのこめかみに青筋がピクピク動いたのを見て、ハリーがやんわりフォローを入れた。ロンはあわてて失言を認め、改めて2人に相談した。
「でもマジでさ、この間なんていきなり『結婚式の式場は何処が良い?』なんて話し始めたんだぜ?そんな頭いかれてるヤツになんて言えばいい?下手したら刺されちゃうよ」
「その時は素直に刺されろ。女心をもてあそんだ結果だ」
「……シリウスなら何て言うかな?」
「それ良いな、今度手紙で訊いてみるか」