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ハリー・ポッターと夢幻の探究者

第2章 【スタートライン】


 ここはイギリスの片田舎にある古い村。殆どの家が農業を営んでおり、村人は畑を耕しながら皆のんびりと暮らしている。
 そんな村からちょと外れた小道を、丘に向かってどんどん登っていくと、魔法界でも色々なことで有名なウィーズリー家の屋敷が見える。
 しかし残念ながら屋敷と言ってもそれほど立派なものではない。古い家を無理やり建て増ししたような凸凹の造りをしており、ある意味奇跡的なバランスを保って建てられている。
 そんな屋敷の3階にある子供部屋で、クリス・グレインは今日も朝寝坊を決め込んでいた。

「クリス、起きなさい!クリスってば!!」
「ん~……」

 親友のハーマイオニー・グレンジャーに起こされ、クリスは一応ベッドから出たが、今の彼女には殆ど意識がない。
 半分以上寝ぼけたまま着替えを済ませ、食卓へ降りて行ってもまだきちんとした覚醒には至らないのだから、呆れを通り越して最早感心の域に達する。
 食卓ではこの家の長男、ビル・ウィーズリーと、恋人のフラー・デラクールが腹が立つほどイチャイチャしていたが、クリスは顔色一つ変えなかった。それも当たり前だ、意識がないのだから。
 ウィーズリーおばさんに熱い紅茶を淹れてもらい、それをゆっくり飲み干す頃になって、クリスはやっと目を覚ますのだった。

「あぁ……良い香りだ」
「ようやくお目覚めかしら?」
「お早うハーマイオニー。何か良いニュースは載ってたか?」

 魔法界で新聞の代名詞と言えるほど有名な『日刊予言者新聞』を読んでいたハーマイオニーに向かって、クリスは1つあくびをしながら当り障りのない質問をした。
 ハーマイオニーは驚くべき速さで新聞記事に目を通すと、「何もないわ」とだけ言って新聞をたたんだ。

 数週間前、魔法省が『例のあの人』もといヴォルデモートの復活を発表してから、書かれていることはあまり変わり映えがない。
 誰が死んだとか、誰が失踪したとか。もしくは『死喰い人』達から身を守るための方法などである。それともう一つ忘れてはならないのが、ハリーと、そしてクリスに関する記事だ。
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