• テキストサイズ

SketchBook【R18】

第12章 Sketch4 --恋人



そして香奈江の頭に手を置いた。


「いいから。 ……分かるから」

「ごめんなさい……もし、私があの日あんな事をしなければ。雅を、巻き込んで」

「ただ俺の名前呼んでくれれば分かるから」

「……雅」


下を向いた香奈江から再びぱたぱたと透明な雫がこぼれ落ちる。


「うん」

「願いが叶って嬉しいのに……悲しいよ」

「うん」

「雅、……みや、び」


何度も俺の名を呼ぶ両頬に手を添え直して、涙でボロボロの香奈江の顔を見詰めた。
少しでもそれを止ませたくて瞼や濡れた頬、唇の端に雨みたいに口付けを降らせた。

香奈江が俺の首に腕を回し腰を抱いて再び引き合う。


「うん……俺も」


隙間が無い位触れたくて、するともっとと香奈江がキスを強請る。


「俺も。香奈江」


溢れ続ける涙を唇で丁寧に拾い、抱く力を弛めて香奈江を腕の中に入れた。

自分の我儘だと分かっていた。



/ 184ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp