第7章 Sketch2 --漆黒
「やめて……あ、ぁあ…」
ギッ、ギッ、ギッ───
軋んで揺れるベッド。
どうやら今晩はまだ自分の準備が出来ていなかったらしい。
侵入してくるたび、ひりつく様にそこが痛んだ。
きつく掴まれている手首も。
でも、すぐに慣らされる。
クチュッ…
「……んくっ…う…」
否応無しにそうなってしまう。
体が馴染んでしまう。
「ヤツらはそん時に自分好みの外見になるそうだな』
私の好み、なんて。
まだ人を好きになった事もない。
「あ…ぁあ…いや…」
けれどいつもと少し違和感がある事に気付いた。
この場所や、匂い。
ここはいつも連れていかれる様な見知らぬ土地じゃない。
もしそうなら、助けて。
お父さん、お母さん。
助けて──────
ミーシャが手を伸ばし、救いを求める。
ひたり、とその指先に汗ばんだ男の額を感じ、驚いて手を引っ込める。
「………ミーシャ」
その声もまた、彼女にとっては馴染みのあるものだった。
ミーシャが固く閉じていた目をゆっくりと開く。
「お」