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SketchBook【R18】

第6章 Sketch2 --解呪




『リュカは優秀だわ。 お父様と同じ学校だなんて』

『同じではないよ。 私と違い、特待生ときている』

兄が名門校に通う事が決まり喜んでいた両親。


『お前は自慢の息子だ』

『……大袈裟だよ 二人共』


何年か前、そう言ってリュカの頭を撫でていた父の姿を思い出した。



「……お父さんが、持っていて欲しい」


ミーシャが椅子から立ち上がり、自分の書棚の一番上に置いてある箱の蓋を開いた。
その中にしまっていた、小さな巾着に入れた細かい破片をダリルに手渡す。
彼が軽く頷いたあと、空のカップと一緒にそれを彼女から受け取り戸口へと戻る。


「他に困った事があったらいつでも相談するんだよ」


「ありがとう、お父さん」


ミーシャがそう言うとダリルは静かにドアを閉めて出て行った。

結局全ては話せなかった。

でもその一部を初めて人に打ち明ける事ができた。
そして私を心配してくれた。

それだけで、ミーシャはずいぶんと救われた気がした。


最近はずっと暗く怖い気持ちで夜を過ごしていたような気がする。
そんな時は、眠りの質も悪くなると聞いたことがある。

今晩はもしかして、夢を見なくて済むのかもしれない。

そんなささやかな彼女の願いもあった。



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