第4章 Sketch2 --夢魔※
「こりゃあまた、えらい若い娘だな。 大丈夫なのか?」
男は簡素なベッドに腰掛けている少女を見て開口一番そう言った。
ベッドと簡易的なテーブルセットが配された、薄暗い部屋だった。
「心配ありません。 とある家柄の出でさ。 まだ若干見たガキではありますがね。 この辺ではお目にかかれない上玉だもんで、是非旦那様にと」
「しかしこんな、……うちの娘よりも小さな」
二人の男の、その値踏みする様な目付きに少女は怯え、自身の体に腕を回しますます小さくなった。
客は大柄な中年の男だった。
この前は、太ったどこかの男爵だという男。
またその前は、ここの用心棒が仕事前に味見だとかで因縁をつけて少女を抱いた。
つまりこの男で今日、彼女が相手をする男は三人目になる。
片方の、痩身で初老の男性が客の耳元で何かを囁く。
ごゆっくり。 意味ありげな視線を男に向けてそう言うと、重い木造りのドアを閉じて室をあとにした。