第16章 Sketch6 --水龍
「大昔、私たち龍と人は一つだったんだよ。ある時私たちから人が分たれ、彼らは彼ら自身の暮らしを作ったが、その一部を私たちは補えない。 すると本来の役目を果たせなくなる。 だからこうして花嫁を迎え、異なる体を交えるのだよ」
彼がわたしを膝に乗せ、そんな事を教えてくれました。
確かに彼とするその行為も、こうやって滑らかな鱗に体全体預けもたれかけて微睡んでいるのも、どこかほっと安心させられるものがあります。
「お前に入っているそれは私の体の一端。 それが私に足りぬ人のエネルギーを分けてくれている」
子を成すわけではありません。
けれどわたしたちは補い合う関係なのだと理解しました。
「明後日にわたしが訪ねる風龍ともそうなのですか?」
「そうだよ。 彼は気まぐれで悪戯ずきだが、そう悪い龍でもない」
そうしてわたしの頬に手を添えます。
その水かきのついた大きな手に頬ずりしながらわたしは夫が好きだと思いました。
「どうした、沙耶?」
あなたと離れるのが少し、寂しいのです。 そう言うとその大きな口が今度はきゅっと引き結ばれ、その眼が更に丸くなりました。
「あっ……?」
わたしの内のそれが突然大きくうごめいたので、思わず声を出してしまいました。
うねうねとミミズのように動きながら時々わたしの入り口から尻尾のようなものを覗かせます。
「それは私の心に共鳴するからな。 今お前を可愛く愛おしく思った気持ちに。 そして潤いを吸って豊潤に充たされ喜んでいる」
ああ、でもこんな。 先ほどまで夫が入っていた所に繰り返し柔らかな異物が轟くのは、過敏になっている膣壁を弄ばれているような感覚でした。
それに耐え切れず両脚を固く閉じて、その動きを閉じ込めようと試みました。
するとそれはむずがるように更に暴れ、膨張していきます。