第5章 #04 「はじめまして」
わたしの翼が赤く染まっていくのが分かる。
両足から血が流れ落ちているのが分かる。
『ヒーローなんて、』
痛みなんて、もうどうでもよかった。
翼を大きく広げると共に鋭い痛みが走る。
血だって流れ出て止まらない。
でも、もうどうでもよかったのだ。
痛みだけが、わたしを覚えている。
『ーーーーだいっきらい』
わたしは撃たれた片手を振り上げ、重力をヒーローたちが集まる場所へと放つ。
大きな爆発音と砂煙が舞う。
大きく会場の空へと飛び上がり、わたしはヒーローたちへ距離を詰めた。
「キミッーー!」
ミッドナイトが声を荒らげる。
わたしはがむしゃらになって重力を至るところへと放っていた。
「イヴちゃん!」
「イヴ!」
出久とかっちゃんの声なんて、聞こえなかった。
超再生の力があるはずなのに、がむしゃらに飛ぶわたしの傷に再生が追いついていないようだった。
『みんなを、救ってあげなくちゃ』
会場高く飛び上がり、目の前のヒーローたちへ、今まで以上の重力をかけるつもりだった。
「イヴ…!」
弔さんの声だ。
弔さんの声だけ、わたしの頭の中にしっかり流れ込んできた。
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