第4章 #03 掠れた夢
住む家もなくなってしまったわたしは、バーへ置いてもらうことになった。
最低限住めるようにはなっているらしく、多少手狭にはなってしまうが、その気持ちだけで嬉しかった。
数日経ち、わたしの傷は完全に完治した。
完治したというより、超再生の個性が発動したにすぎないが。
わたしは洗面所で顔を洗い、濡れたままの顔で鏡を見つめた。
『…あかい』
片目は茶色、片目は赤という厨二病っぽいオッドアイだ。
だがわたしはこの瞳が好きだった。
助けてくれたヒーロー、弔さんに近づけている気がしたから。
顔を吹き、片付けを済ませてカウンターへ向かうと、黒霧さんがいた。
『なんですか黒霧さん』
「おやおや、わたしは何も言っていませんよ?」
『言ってます。なにか企んでる悪い顔してます。にやけてますよ。』
黒霧さんともすっかり打ち解けた。
黒霧さんは霧で覆われているものの、表情がバレバレだ。すぐわかる。
「ふふふ」
『え!?すごーーーく嫌なこと考えてますね!?何ですかその笑い!!!!』
「これを」
黒霧さんは後ろに隠し持っていた紙袋を渡してきた
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