第34章 黒い薔薇
翌日、玄関に行くと昨日もらった薔薇の花が一輪挿しに刺さり、おはようと挨拶しているようだった。
泰葉は朝食の用意をしに母屋へ行こうと離れの戸を開ける。
杏「おはよう!!!!」
「わぁ!!!」
玄関の前には杏寿郎。
朝から鍛錬をしていたのか、道着を着ている。
「ど、どうしたの⁉︎」
朝からわざわざ離れに来る用事とは何だろうか?
杏「うむ!これを渡そうと思ってな!
昨夜、要が持ってきてくれた!」
杏寿郎から手紙を渡される。
杏「1通はお館様からのものだ。
そしてもう1通は君のご両親から。嬉しい言葉が書かれていた!」
泰葉は、まず両親からの手紙を読んだ。
2人を祝福してくれているのを感じる…
感じるが…
杏「ご両親からの了承も得たようだな!!」
やっぱり、そう思うよね。
何か、ご勝手にどうぞ感が漂う。
「は、はは。」
泰葉はもう1通、お館様からの手紙を読む。
内容は
泰葉の戦いへ向かうことを許可されるもの。
しかし、いきなり大きな戦いになるのは危険なので、一緒に合同強化訓練に参加すること。
金崎の件があるので、柱の側を離れないように。
とのことだった。
杏「…泰葉さんも合同強化訓練に参加…。
つまりは5日後から留守にしてしまうという事だな…。」
杏寿郎は少し寂しそうな顔をする。
「そんな顔しないで…。
なるべく頑張って早く戻ってくるから。」
泰葉は杏寿郎の頬を撫でた。
すると、杏寿郎はニカッと笑う。
杏「その分、明日を楽しみにしよう!」
「!!!!」
その日、仕事はこなしたのだが、どう過ごしたか記憶に無かった…。