第1章 君が私の煇。
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「雪奈さ、夏油の事好きでしょ」
「!?」
いきなり突拍子もない事を硝子が話してきて
飲んでいたいちごミルクを吹きかけた。
今まで好きな人って高専では
いた事が無かったから硝子に好きな人の
タイプも喋ったことも無かったし
夏油の事も特別気にした事は無かった。
「ゴホッ、ゴホッ、なっ、なんで?」
「あ、ごめんごめん。
何となくなんだけどさ、好きじゃない?」
「んー、特別意識した事無かったかな。
そう思われる事してた記憶もないな…」
「強いていうなら、夏油って言ってるとこ?」
「え?」
「五条の事は悟なのに、夏油は夏油じゃん。
照れ隠しか何かだと思ってたよ」
「だって悟、苗字で呼んでたら名前で呼べって
うるさかったんだもん。
夏油はそのまま…うん、そのまま来た感じ」
「ナニソレうける」
そう言いながら硝子はタバコを持った。
一服するにはちょうどいい時間なんだろうな。
「吸いに行くの?」
「うん、着いてくる?」
「今はいいや」
「なる早で戻ってくるから」
そう言って颯爽と教室から出て行った硝子を
眺めながら、さっき言われた事を考えた。
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