第49章 手放せない愛を抱えて
「それで…気持ち良くて声を押し殺すんだけど我慢できなくてエロい声ダダ漏れで、激しくするとベッドがギシギシ大きく揺れんの」
「…ちょっと万次郎くん」
「ビックリしたカノがオレの腹に両手付けて、腰浮かして逃げようとするから、オレがそれを捕まえて、下から無遠慮で突き上げると、体を反らしながらイッちゃって。」
「っ、病院はそういうことする為にあるんじゃないです…!!」
どんどん妄想が現実味を帯び出した所で、真っ赤になったカノトがストップを掛ける。
「まだ妄想し足りねーんだけど」
「もう十分です!」
「今度コスプレえっちしてみる?カノが看護師で、オレが患者。今言ったシチュエーションでヤると盛り上がるかもよ?」
「盛り上がるのは万次郎くんだけです!!」
「心外だなー。カノだってオレとえっちすんの好きじゃん。オレが気持ち良くするとすーぐイッちゃうだろ?」
「っ…………!!」
「エロい身体乱して、泣きながら喘いで、オレのでもっと奥突いて欲し〜って顔しながら気持ち良さそうな声出すくせに」
「やっ…そ、そんなこと…」
「温泉旅行の時だってハジメテの割に激しく乱れてたもんな?」
「だ、だって…!」
「"だって"…なぁに?」
「……………」
揶揄われてばかりで悔しさが込み上げる。顔を真っ赤にしながらカノトは不貞腐れたように片頬を膨らませた。
「カノ?恥ずかしくて黙っちゃった?」
「…意地悪」
「別に意地悪したつもりはねーんだけどな」
「照れさせないで」
「それはムリ。カノの照れた顔見んのがオレの楽しみの一つでもあるから」
「ドS…」
「カノ限定。もしかしてちょっと怒ってる?」
「怒ってません…」
「声がそうなんだよなー。んー…あ、ちゅーしてあげるから機嫌直して?」
「!」
「て言うのは建前で…本当はオレがカノにキスしたいだけ。…ダメ?」
「…いいですよ」
「やった♪」
そんなことを言われたら怒る気にもなれない。仕方なく折れたカノトは小さく溜息を吐き、嬉しそうに声を弾ませたマイキーと唇を重ね合わせた。
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