第48章 打ち砕かれた野望
「イザナ…オレはオマエを救いたいんだ」
「うるせぇ!!」
マイキーの思いを拒絶し、片足を容赦なく振り翳す。けれどもうイザナの攻撃は全て見切ってしまっているマイキーは体を少し後ろに逸らし、イザナの蹴りを顔の前スレスレで躱す。
「!?」
「もう当たんねぇよ」
拳を構えたマイキーは驚くイザナの顔面に向けてパンチを放つ。
ゴッ
「カハッ」
殴られた衝撃で鼻血を出し、痛みで顔を歪めるイザナにマイキーは更に核弾頭のような蹴りを食らわす。
「イザナぁあ!!」
地面に倒れたイザナを見て、鶴蝶が叫ぶ。
「なんだよ…やりゃーできんじゃねぇかよマイキー!!」
「(あの蹴りを食らって…すぐに立ち上がった…)」
「上等上等、楽しくなってきた。なぁ!?」
愉しそうに声を弾ませるイザナの双眸は狂喜に染まっていた。言葉を言い終えると同時に拳を突き付けるも、顔を逸らしたマイキーに避けられ、逆に腹部にパンチを入れられる。
「なんでそんなになっちまった!?なんで兄妹を愛せない!?」
「あがっ」
「オマエが心を開けばエマもオレも快く受け入れた」
「(うるせぇ。知ったような口利きやがって。)」
「なんでだよイザナ!!!」
「うるせぇぇえ!!」
イザナがこんなにも激昂するには理由があった。昔、雨が降り頻る日、真一郎にも同じ言葉で責められた気持ちになったからだ。
怒りで顔を歪め、拳を振り下ろすも当たらず、マイキーのパンチを顔面に受ける。
「(くそっ)」
イザナは苛立つように歯を噛み締めた。
「真一郎」
「!?」
「エマ」
マイキーの後ろに立つ真一郎とエマの姿がハッキリと見えた。二人はマイキーの背中に手を添え、じっとイザナを見つめている。
「なんで…なんで"そっち"にいるんだよ?」
幻だと分かっていた。でも二人がマイキーの傍にいて、自分を責めるような眼で見ているのが気に食わなかった。
「オマエの負けだイザナ」
「うああああ"あ"!!!」
追い詰められたイザナはブチ切れ、稀咲から銃を奪い取ると、マイキーに突き付ける。
「!!」
「イザナ!!」
「喧嘩でまで負けたら、全部なくなっちゃうだろ?」
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