第47章 12年後に死んでしまう君へ
「テメェらがマイキー君を狂わせた!オレがマイキー君を守るんだ!!!!」
マイキーを守る為、東卍を守る為に必死に戦うタケミチ。涙を浮かべて拳を振り翳したが、イザナの後ろにいる人物を見た瞬間、ピタッと止まった。
「!?」
その状況にイザナも驚き、カノトも不思議そうな顔でタケミチを見たが、ふと視界に入った人物を見て、大きく目を見開いた。
「嘘…なんで…」
あの不安定な精神状態では絶対に此処に来る事はできないハズなのに、立ち直るには相当な時間が掛かるハズなのに、彼は現れた。
「っ…………」
彼を見た途端、心の奥底から込み上げてくるものがあり、泣きそうになった。目頭に熱いものが浮かんで、視界がぼやけた。それと同時に酷い安心感を覚えた。
「おせぇよ…」
ボソッと呟いたタケミチは拳を頭上高く突き上げて言う。
「オレ…負けなかったっスよ…」
「は?何を言ってる?」
「総長!!!」
全員が同じ方向に驚いた顔を向ける。
「ありがとうタケミっち」
そこに立っていたのは、赤いタスキに特服を着たマイキーだった。
「バカな!!今日妹を亡くしたのに…失意のどん底なハズだろ?来れるワケがねぇ!!」
ココだけじゃない。きっと誰もが同じ事を思っているはずだ。それでもマイキーはそこに立っている。"東京卍會の総長"として。
静かに歩み寄り、稀咲とイザナの元まで近付いて行くマイキー。
「少し…タケミっちと話をさせてくれ」
そのまま二人の間を通り過ぎ、タケミチの前に立つ。
「来てくれたんですね…」
「ありがとうタケミっち」
「マイキー君…」
片手をタケミチの後頭部に回し、ぐっと引き寄せるマイキー。お礼を告げると側を離れ、今度はカノトの元にゆっくりと歩み寄る。
「…カノ」
「まん…じろ、く…っ」
「ウン…オレだよ」
マイキーは優しい顔でニコリと微笑む。
「泣き顔も可愛いけどさ、オレ以外の奴が見てる前で泣くの禁止。」
「っ…………」
「守るために…たくさん傷付いたんだな」
そう言って、するりと指先が腫れた頬に触れる。そのくすぐったさに小さくピクッと反応する。
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