第47章 12年後に死んでしまう君へ
魁戦で斑目をぺーやんが瞬殺した事で勢いが東卍に傾いたまま、天竺との抗争が始まった。
「うおらあああ!!」
「!!」
タケミチと共にみんなが作ってくれた道を走っていると、声を上げながら拳を構えた男が横から現れた。
ブンッと振り翳した渾身のパンチは、顔に当たる寸前で咄嗟に後ろに体を逸らしたカノトが回避した事により、空振りする。
「カノト!!」
「僕に構わず先に行って!!」
「……………」
「必ず稀咲の元まで辿り着いて」
「…わかった。気をつけろよ!」
その場にカノトを残す事を一瞬躊躇したタケミチだが、天竺の下っ端なんかにカノトがやられるハズはないと信じ、稀咲の元に行く為に先に進んだ。
「チッ…もう少しでその面、不細工にしてやれたのによぉー…避けてンじゃねーよ」
「空気読めねぇ奴だな」
「つーか、近くで見ると女みてぇだな!」
「(そりゃ女だからね。)」
一発食らわせられなかった事に残念がる天竺の男が三人、カノトの前に立ち塞がる。
「そういえばテメェ、さっき獅音君に生意気な口利いてたよな?」
「まるで獅音君がイケメンじゃねーみたいに言いやがって!」
「え?僕の方が断然イケメンでしょう?むしろあの人のどこに美形要素が??」
「テメッ!本気で"わからない"みたいな顔で真剣に悩んでんじゃねえ!」
「そーだ!獅音君が可哀想だろうが!」
顎に手を遣り、本気で悩む姿に、天竺の男達は怒り顔でビシッとカノトを指差す。
「ていうか興味ないんでどうでもいいです」
「ンだと!?」
「だって天竺の誰よりも美形なのは間違いないですし。女の子にモテるのも事実だし、自分よりモテない奴の事なんてどうでもいいです」
「カァー!!これだからモテる男は嫌なんだ!!自分の容姿にマイナス点が見つからねぇからって、すぐ調子に乗りやがる!!」
「お前なんて車に轢かれてブ男になりやがれ!!そんで女共に嫌われちまえ!!」
「いや車に轢かれる前にオレらがテメェのそのクソ腹立つ顔をボッコボコにしてやる…!!」
「……ハァァァ〜」
カノトはうんざりしたように盛大な溜息を吐いた。
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