第46章 東卍vs.天竺
「日本語喋れコノヤロー」
予想外の展開に余裕そうに構えていた天竺のメンバーも戸惑い、焦った表情を浮かべる。
「四天王を一発で…!?」
「これが東卍!?」
「楽しめそうじゃん東卍!」
愉快そうに笑うイザナ。
「タケミっち!!!」
突然名前を呼ばれたタケミチは目を見開き、驚いた顔でぺーやんを見る。
「あとは任せた。開戦の狼煙はオマエが上げろ!!」
「……………」
「(緊張…してる。自分の心臓の音がこんなにも大きく聞こえるなんて。)」
胸に手を添え、ドッドッと逸る心臓の鼓動を落ち着かせるために、目を瞑り、ゆっくりと深呼吸をした。
「(こんなの気休めにしかならないけど…一度冷静を欠いたらそこから全部崩れる。落ち着いて周りを良く見て行動しなきゃ。)」
目を開け、天竺をじっと見据える。
「みんな、準備はいいか?」
「ああ」
「もちろん」
「いつでもいいぜ」
「大将」
タケミチの心臓の鼓動もドッドッと逸っていた。緊張した面持ちで、でもしっかりとした顔で、コンテナの上に立つ稀咲を見上げて叫んだ。
「稀咲ィ!!」
「花垣武道」
お互いに鋭く睨み合う。
「長い戦い!!ここで終わりにしようぜ!!!」
「今日!!白黒つけてやるよ!!」
「(稀咲…君が兄さんを殺したの?あの夜、あのフードの男は…稀咲なの?もし兄さんを殴り殺した犯人が君なら…絶対に許さない。)」
憎悪のこもった眼差しを稀咲に向ける。怒りを抑えきれず、ギュゥゥッと握り締めた掌に強い力を加えた。
「(何度も兄さんを失う度に壊れていく自分がいた。窮屈な世界で生き続け、何の楽しみも感じない体になって、街を歩く仲の良さそうな兄妹を見る度に泣きたくなった。)」
でもタケミチくんのおかげで
過去にタイムリープすることができて
もう一度、兄さんに会うことができた
「(それだけじゃない。最初で最後の…恋をすることもできた。)」
万次郎くんと出逢って
違うカタチの幸せをもらった
「(だからその幸せを守るために…兄さんも万次郎くんも絶対に救う──!!)」
「行くぞぉぉぉ!!」
勝利の女神は
どちらに微笑むのか
next…