第45章 願う声は届かない
「…ムーチョが裏切ったか」
「はい…」
武蔵神社に壱番隊が集まり、伍番隊が天竺に寝返った事、ココが天竺についた事をマイキーに報告した。
マイキーは特に驚いた様子も見せず、淡々とした口調で静かに目を伏せる。
「この抗争で壱番隊は九井一奪還に全力を尽くします」
「……、うん!」
「(一くんは私達を守るために天竺について行った。伍番隊は最初から東卍と万次郎くんを裏切るつもりだった。…許せない。ムーチョもイザナも…やり方が卑怯だ。)」
「乾!この抗争…天竺が本腰入れて攻めてくるとしたらいつだと思う?」
「明日…2月22日は11年前、初代黒龍が誕生した日だ。黒川イザナが佐野真一郎に心酔しているのであれば、明日は特別な日だ」
「動くなら明日だと?」
「ああ、間違いねぇ!」
「よし!東卍全員を集めろ!明日の決戦に備えて最後の決起集会だ!!」
「はいっ!!」
肩に羽織った特服を翻し、背を向けたマイキーの言葉に壱番隊は声を揃えて返事をした。
◇◆◇
その頃───……
「イザナ!オレは反対だ!!なんでオマエはあんな奴らを信用する!!?」
高層ビルの屋上の隅っこに立つイザナの元に怖い顔をした鶴蝶が詰め寄る。
「…黙れ鶴蝶。東卍を潰すにはこれしかねぇ」
「オレは…絶ッ対ェ認めねぇぞ。殺しだけは!!」
止める鶴蝶の言葉にも耳を貸さないイザナ。そこから見える景色を無表情で見下ろすイザナの心情は…誰にも知る由はない。
◇◆◇
2月22日 午前2時
「これより対天竺、緊急集会を始める!!」
天竺との決戦に備え、武蔵神社に東卍全員が招集された。特服を着たカノトもタケミチの隣に並び、ドラケンの合図で緊急集会が始まる。
「千冬…カノト…この戦いでオレら壱番隊のやるべき事は、ココ君の奪還と稀咲とイザナを倒す事!」
「つまり…天竺をぶっ潰す!!」
「諦めなければ必ず勝機はやってくる。僕達はこんなところじゃ終われない。誰も救われない最悪な未来を変えよう!」
「なんだかんだ今までの戦いで一番シンプルになったな!」
「あぁ、でも問題は…今の東卍が天竺に勝てるか?だ。」
「え?」
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