第44章 つーかまーえた♪

「どうしてそこまで僕に執着するんだよ！」



「"どうして"？そりゃ勇者チャンを誰にも渡したくねェからだ。こんなにも俺は勇者チャンのこと一途に想ってんのに、勇者チャンはマイキーしか眼中にない」



「っ、」



マイキーに対して憎悪が込み上げ、怖い顔つきになった半間は気にせず、言葉を続けた。



「それが気に入らねぇんだよなぁ。だって本当なら勇者チャンはマイキーじゃなくて、俺を好きになるはずだったんだから」



「僕が君を？笑えない冗談だな。どうして僕が君を好きにならなきゃいけない？僕の大事なモノを壊そうとしている君を、僕が好きになるとでも思ってるのか？」



「俺の想いを否定すんなよ、悲しいだろ？勇者チャンに拒絶されたら…勇者チャンの大事にしてるモン、すぐに消したくなる」



本気とも取れる眼に、ごくりと生唾を呑む。半間はカノトの顔の横に両手をつき、見下ろす体勢で、じっと見つめる。



「好きだ勇者チャン。マイキーよりもずっと…俺の方が勇者チャンを想ってる。勇者チャンだけが俺の生き甲斐なんだ。勇者チャンがいるだけで俺は幸せなんだよ」



「君がどれだけ僕を想っていても、その気持ちに答えることはできない」



「ならマイキーを壊せば、勇者チャンは俺の気持ちに答えてくれるか？」



「っ！いい加減にしろよ半間!!君の好意は受け取れないって言ってるんだ!!もし彼を傷つけたら、僕は君を殺す───!!」



「！勇者チャンが…俺を？」



「僕の大事なモノを壊すな！傷つけるな！消そうとするな！触ろうとするな！ずっと必死に守ってきたんだ！それを簡単に壊されてたまるか…!!」



「フッ…クックック…ハハハハ!!!」



「！？」



高笑った半間に驚いて固まる。半間は声を押し殺しながら肩を震わせて笑い、その後、うっとりとした眼差しをカノトに向けた。



「あー…すげぇ良い、ホント最高。相変わらずホンモノの勇者みたいでかっけーなぁ」



「半間……？」



「やっぱ好きになって正解だった。絶対に俺の運命の相手は勇者チャンだわ。間違いねえ。もう絶対に此処から出さない」



「っ………!!」



歪んだ笑みを向けた半間に危険を感じ、慌てて逃げようとすれば、両手を掴まれ、頭の上で一纏めにされる。



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