第5章 ミッション失敗…?
「オイ!」
ドラケンがぐいっとタケミチの胸ぐらを掴む。
「オマエ何様!!?」
キレるドラケンにタケミチは恐縮する。
「(怖えぇ…無理だ。二人の喧嘩を止めるなんて。)」
「……………」
マイキーがドラケンから離れるとタケミチの自転車を片手で持ち上げた。
「マイキー君!?それはオレの愛車の疾風号!!!」
嫌な予感がしたタケミチだったが、マイキーは片手で自転車をドラケンに向けて投げ飛ばした。
ブォンッと勢いよく飛んでくる自転車を身体を倒してひょいっと横に躱すドラケン。
行き場を失った自転車は壁に激突し、バラバラに破壊された。
「あ"ああ"ああ!!オレの思い出があああ!!」
マイキーの突然の行動にキレたドラケンが壁に立てかけてあるバッドに手を伸ばす。
「テメェ正気か!?」
「ドラケン君!?それは小4の時初めてホームラン打ったゴールデンバット!!」
「やんならトコトンだぁ」
タケミチが止めようとしたが、べキッと膝で真っ二つに折られてしまう。
「(…可哀想に。)」
タケミチはショックのあまり泣いている。
「マイキー君!?それはオヤジと初めて祭りに行った時の!」
バッコーン
「ドラケン君!?それオレが小遣いで買ったスケボー!!」
ガッシャーン
「あああ!!」
べキッ
双方が手当たり次第に投げるのでいろんな物が宙を舞う。ただし…タケミチの物ばかり。
「(釣竿も折れてる…)」
まるで台風のようだった。
「ここで決着つけるかぁ?」
「上等だぁ」
二人は怖い顔で睨み合う。
「待てよ」
ショック過ぎて座り込んでいたタケミチが怒気を含んだ声で立ち上がる。
「テメェら、いい加減にしろや…」
「(あ、タケミチくんがキレた。)」
タケミチもぐっと眉間を寄せ、怖い顔で二人を見ている。
「「あん?」」
「オレの大切な思い出をメチャクチャにしやがって!!」
タケミチは怒りで身体が震えている。周りを見ればマイキーとドラケンが目についた物を何でも投げた為、酷い有様になっている。
自転車、スケボー、釣竿、バット…。どれもタケミチが大切にしている物ばかりだ。
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