第42章 閉ざされた未来と託された希望
「コイツの髪、梳かしづらいから気をつけろ。櫛使ってもマジで引っ掛かる」
「分かりました。マイキーくん、ソファーに座ってください」
「ん」
ソファーの後ろに回り込み、ピンクゴールドの髪に櫛を差し入れ、下に向けて梳かす。
「(確かに引っ掛かりやすいけど、ふわふわしてて綺麗な髪してるんだよね。髪質も柔らかめだし、触れてると気持ちいい。)」
「カノに触られるのすげー気持ちいい。これなら毎日やってほしいくらい。あ、結婚したら毎日してもらえるじゃん!」
「っ………!!?」
マイキーの発言に驚いて固まる。
「オマエな…少しは抑えろ。カノが顔赤くしたまま固まっちまってンだろうが」
額に手を遣り、ドラケンは呆れ返るようにマイキーに言った。当の本人はそれはもう楽しそうに笑っている。
「つーか結婚って、気が早ェだろ。まだ先の話だっていうのに」
「学生結婚ってあンじゃん。オレは今すぐにでも婚姻届に名前書いて役所に提出して、カノと結婚したいけど。そうすればずーっと…オレの傍にいてくれるだろ♪」
「(うわぁ…マイキー君、結婚してカノちゃんの逃げ道塞ごうとしてんのバレバレ…。多分あの笑顔の裏って、"絶対に逃がさない"って意味も込められてンだろうな。カノちゃん、ご愁傷さま…。)」
タケミチは心の中で合唱した。
「マイキーくん…」
「なぁに。結婚する?」
「っ、違くて…!何でもかんでも私に対しての願望と欲望を人前で口にするのはやめてください!」
「前にオマエが言ったんじゃん。"あの時言っておけば良かったって後悔する前にちゃんと言葉で伝えろ"って。だからオレは後悔しないように包み隠さず伝えただけだけど?」
「イヤ言いましたけど!!でも時と場合を考えてください!!人前で願望と欲望を伝えられても恥ずかしいじゃないですか…!!」
「安心しろカノ。オレ等はもうオマエとマイキーのイチャつきっぷりには胸焼けしちまうほど慣れてっから」
「(胸焼けするなら慣れていないのでは!?)」
「今更コイツがオマエに何をしようがそう簡単には驚かねぇからよ」
「(ドラケンくんが呆れてる…!!)」
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