第4章 冷たい拒絶
「ぺーやん。参番隊を頼む。オレ、自首する」
涙を目尻に溜めながらパーちんは言った。
「ふざけんな」
自首を選んだパーちんの決断にマイキーは納得ができなかった。
「ボーッとしてんじゃねえ!」
「バカ!置いてけねぇよ!」
ドラケンがマイキーを抱える。
「パー!!一緒に来い!」
「みんな捕まっちまうぞ!!」
「パー!!!」
必死に叫ぶマイキーの言葉にパーちんは背を向けたまま、こちらを振り向かない。
そして続々と警察が到着し、愛美愛主のメンバーは取り押さえられる。
「あああああくそっ!なんでこんな事に!!!」
カノト達も警察から逃げるように走る。ぺーやんが混乱したように叫んだ。マイキーの顔にもドラケンの顔にも困惑の色が窺って見える。
「(…やべぇ…意識が…)」
ドサッ
「「!」」
マイキーとカノトが振り返る。そこには意識を失くしたタケミチが倒れていた。
「タケミッち!!!」
「タケミチくん!!!」
✤ ✤ ✤
────翌日。
「カノー。兄ちゃんこれから出掛けるけど変な奴来ても出んなよー」
「…うん」
「…帰りにたい焼き買ってきてやるな」
「(たい焼き…)」
マドカは元気のないカノトを心配していたが、そっと部屋のドアを閉め、家を出た。
「……………」
先程、タケミチから電話があった。マイキーとドラケンがケンカを始めてしまい、東卍も“マイキー派”と“ドラケン派”で二つに割れ、争い始めたらしい。
「…言った通りになっちゃった」
日付は────8月1日になってしまった。
「嫌だな…二人がケンカするの。ケンカは…しないでほしい」
遠い目を窓の外に向ける。
「…“しつけぇよ”か」
あの時、マイキーに言われた言葉が重くのしかかる。確かにしつこ過ぎた。でも仕方ない。抗争を止める為だったのだから。
「嫌われちゃったかな」
胸元で揺れるパズルピースのネックレスに触れる。
「タケミチくんのお見舞い、行こう…」
行く途中でモナカ饅頭でも買って行こう。そう決めたカノトは財布を持って家を出た。
next…