第41章 絶対的な『王』の名は
イザナの元から逃げ出す事に成功したカノトはすぐにタケミチと連絡を取り、人気のない公園で落ち合うことにした。
「え!?稀咲が天竺に!?」
マイキーに除名(クビ)を言い渡され、半間と共に東卍から追放された稀咲が天竺にいて、そこでは総参謀と名乗っていたとタケミチから聞いたカノトは驚いた顔を浮かべる。
「それって東卍を追い出されたから天竺に乗り換えたってこと?」
「オレも同じこと稀咲に聞いたんだよ。そしたらアイツ、『"オレの東卍"を創る』って言って半間と一緒にバイクで走り去ってった」
「げっ…半間もいるのか。そりゃそうか。稀咲と一緒に行動してんだもんな。でも"オレの東卍"って…?」
「そのことでカノちゃんと話がしたかったんだよ。きっと天竺が攻めて来たのはあいつが仕組んだ事だ」
「どういうこと…?」
ハッキリと"稀咲の仕業"だと口にしたタケミチに"確信する程の理由があるのか"と云うようにタケミチに問いかける。
「カノちゃんだってずっと不思議だっただろ?何度繰り返しても失敗する未来。ドラケン君を救ったハズなのに失敗…東卍から稀咲と黒龍を追い出したハズなのに失敗。何をやっても現代(みらい)は一向に良くならない」
「うん、それは私もずっと不思議だった。全て救ったハズなのに、どの現代(みらい)も『最悪な未来』に行き着いた。何がダメだったのか理由を考えても分からなかった」
「カノちゃん、もしも…だよ?もしも、オレ達が未来を変えた後に、さらに未来を改ざんしてる奴がいるとしたら?」
「……え?」
タケミチの言葉に道を疑う。
「もしも稀咲がタイムリープしてるとしたら?」
「稀咲が!?」
「未来のマイキー君は何かがきっかけで12年後、あんな風になっちまった。オレは…稀咲が東卍を抜けたからマイキー君は東卍の闇を全部背負って、12年後あんな風になっちまったって思ってた」
「確かに12年後のマイキーくんは"正しい道を外れた"未来を生きてた。フィリピンで会った黒髪マイキーくんも、夢の中で会った白髪マイキーくんも。どの現代(みらい)でもマイキーくんは…独りぼっちだった」
指先を唇に当てながらそう言う。
.