第41章 絶対的な『王』の名は
「ふぅん。つまんねー名前だな」
「は?」
本当につまらなさそうに言われ、カチンときた。
「まぁいいや。俺、黒川イザナ。もう気づいてると思うけど天竺の総長な」
「そっちこそつまんねー名前ですね」
「あ?」
"仕返しだ"と云うようにフンっと嫌そうな音を鼻から出して嘲れば、イザナもカチンときたのか、低いトーンでキレる。
「何オマエ?俺に逆らうの?」
「最初に喧嘩売ったのそっちですけど」
「つまんねーからそう言ったんじゃん」
「僕もつまんねーからそう言ったんですが?」
「は?まじで何だオマエ、くそ腹立つ。殺していい?」
「殺したら夢に化けて出て呪ってやる。地獄の底に引きずり込んで恐怖と痛みを永遠に与え続けてやりますよ、この僕が。」
カノトも苛立っている為、普段の優しい口調が崩れ、キレた時の口の悪さが出る。
するとイザナは驚いたように目を見張り、ニヤッと小さく笑い、冷めた目を消して、愉しげな表情を浮かべた。
「オマエ、面白いな」
「どこに面白い要素がありました?」
「俺に反抗する奴、初めて見た。他の奴なら俺を怖がんのに、オマエは俺を恐れねぇんだな。怖いもの知らずかよ」
イザナは可笑しそうに笑う。
「…何で東卍を狙ってるんです?ただ潰す為に兵隊を300人も呼び寄せて、一体何が目的ですか?」
そう質問するとイザナは小さく笑む。
「それが知りてぇならちょっと付き合え」
「え?付き合う?」
「腹減った。なんか奢れ。」
「普通に嫌なんですけど」
「そのキレーな顔、潰されてーの?」
「…完璧な脅しじゃないですか」
「死にたくないなら、もちろん奢るよな?」
ニッコリと微笑まれる。その意地の悪い笑みにカノトはひくっと顔を引き攣らせた。
「…わかりましたよ。助けてもらったのは事実ですし、奢らせて頂きますよ」
「じゃあ知り合った記念に握手。よろしくな、カノト。」
スっと手を差し出される。
「よろしく…お願いします」
握るのを躊躇ったが、拒否したらしたで、何かされそうなので素直に応じることにした。
.